世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 友人の前ですら、買い食いするのは抵抗があった。でも今は蓮司さんが言うように、両親はいないのだ。

 今まで、いない存在を意識しすぎていたのだと気づく。そして彼がその存在を忘れさせてくれていることも。

 慣れないながらも栗の皮を剥き、まだ湯気の立つそれを口に運ぶ。

「おいしい……!」

 ほわっと温かさと香ばしさに、つい感想がこぼれ出た。

「蓮司さん、これ、すごく甘いです!」

 想像以上のほくほくとした食感。砂糖とは違う、滋味深い自然の甘みが口いっぱいに広がる。

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