世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 伸びた手が、自分の見ているものが現実なのかをたしかめるように動く。

 蓮司さんの指先は私の目尻をなぞり、頬を伝ってから唇に到達した。

 まだ焼き栗の熱が消えきっていなかったのか、触れられた場所が熱い。

「もっと高価なものしか口にしないと思っていた。そんな数ユーロの焼き栗で満足するとは」

「実家が古いだけで、一般的な範疇の金銭感覚で育っていると思います。……ファストフードだって食べたこと、ありますよ」

 どうも彼は私を世間知らずのお嬢様だと思っている節がある。

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