買われた花嫁
 自分の指先を目で追う蓮司さんの視線さえ艶めかしくて、心臓が跳ねあがるのを感じた。

 恥ずかしさで顔が熱くなるのを感じる。もう、グラニテでは冷やせないほどに。

「紗代」

 私を呼ぶ蓮司さんの声が一層甘い。

「俺を理性のない男にするな」

「私は……なにも――」

 その先の声は彼の唇にはばまれて溶けていった。

 誰にも見咎められない席なのをいいことに、わずかに残った口内の甘い香りを奪われる。

 仮にも外なのだからと止めることはできるはずだ。

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