世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 そう言って名刺を渡してきた男性は、人のよさそうな笑顔をしている。

 初めて会うらしいのに蓮司さんが誰なのかわかったのは、彼がわかりやすく存在感のある人だからだろう。

「お声がけいただき光栄です。改めて自己紹介を。霧島蓮司です。こちらは妻の紗代と申します」

「初めまして。霧島紗代です」

 かつて嫌になるほど両親に叩きこまれたことを思い出しながら、優雅に頭を下げて口もとに笑みを作る。

< 313 / 489 >

この作品をシェア

pagetop