買われた花嫁
「俺が欲しいのは九条家の伝手だけで、君の笑顔ではない。俺は――君を金で買った。そして君は、俺に買われた。それ以上でも以下でもない」

 どこまでも容赦なく、そして遠慮なく好き放題言ってくれる男だと思った。

 噂通りの冷酷な人と評価するにはまだ生ぬるい気がする。たしかにこれは敵も作るだろう。彼を受け入れられない人がいて当然だ。

 それにこの抑えつけるような言葉は嫌というほど覚えがある。

 私の父だ。

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