世界一嫌いな男に妻として買われたら、容赦ない溺愛で堕とされました
 彼の視線が私の持つバッグに移る。

「はい。ほかの私物は既に送ったので」

「だったらいい。君の荷物は手をつけずに部屋へ運んである」

「ありがとうございます」

 これが夫婦の会話か、と内心苦笑する。やっぱり上司と部下なんじゃないかと錯覚する。

 彼は『行こう』とも言わず、私に背を向けて歩き始めた。

 事前に調べた情報によると、このマンションにはトレーニングジムやスパ、プールなどがあるらしいけれど、彼に案内する気はないようだ。

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