Re:Romance
「あははは人生かけるとかカッコよすぎ。いやあ里夏ちゃんって妄想の域が変態だよね!」
全部私の勘違いだったとでもいうの? 何やってるんだよ私っ。
少しでも監禁だの軟禁だの頭をよぎった私ってTLの読みすぎ?!
「あ。凄。まじで誰か来た。」
遠のきそうな意識の向こうでインターホンの音が鳴る。私は頬をテーブルに貼り付けたまま、虚ろな目で玄関の方を見ていた。
「里夏ちゃん、もしかして、彼がここまで来る勝算があった?」
あるわけないじゃんそんなの。
「勝算じゃなくって、来てくれたらいいなあっていう願望だよ〜」
玄関で玲さんが誰かとやり取りをしている間に、私の意識が落ちかけた。
「五智川さんが昔の彼女を軟禁したって噂を聞きましてね、遠路はるばる仕事帰りにこうして来たってわけですよ。」
あー実来君の声が聞こえるー……
「木叉と里夏ちゃんのスマホからひっきりなしに連絡入ってきてたけど、まさか君が来るとはね。てっきり香椎さんが来ると思ってたよ。」
「僕で残念でしたね。」
良かったー。ほんとに来てくれたんだぁ。
夢か現実かも分からないまま目を閉じれば。
いつも冷静な実来君が、いきなり声を上げた。
「せんぱいッ?!」
実来君の柔軟剤の香りがして、温かい手が私の背中に触れる。
「先輩! 大丈夫ですか!!」
大好きな実来君が、なぜか私を心配するように情けない声を出すんだ。
「あんた! せんぱいに何したんだ!!」
今度は怒ってる声がして、離れかけた意識が戻りそうな脳を使い、目をゆっくり開けた。
「タンマタンマ! 言っとくけど彼女が勝手にビール5本開けただけで、俺はなんもしてないよ?」
「は、あ?!」
実来ともあろう真面目君が、玲さんのシャツを掴み、今にも殴りかかりそうな勢いだ。
「……」
そしてしばしの沈黙があって、実来くんがまた私の方を見た。
「先輩、酔ってるんですか。」
「悪いか美少年」
「せんぱいが、馬鹿すぎる。」
「ふふふ」
渇いた笑いの後には、うっかり目尻から涙がこぼれた。
だって、本当に願望が叶うなんて。嬉しすぎてあふれちゃうんだもん。
「五智川さん、水ください。」
「OK。実来君は酒飲む?」
「飲めるか。」
肩でため息を吐いてから、しゃがんで私の頭を何度も撫でてくれる実来君。きもちい。
「めちゃくちゃ心配した僕の気持ち、よく考えて下さい。」
「うん、好き。」
「またそうやって都合のいいことを。好きです。」
「え?」
「僕が今までどんなにあなたを想ってきたかまるでわかっていない先輩でも大好きです。」
「なにそれ。」