Re:Romance


「好きに決まってんじゃん。」

「……え」

「正直、彼女がいた事がずっとひかかってたから、彼女じゃないって分かってほっとしたよ。」

「……」

「ほらあ、私って? 誰かさんに惚れられるくらい母性が強いらしいから?騙してたって言われてもぜーんぜん許せるしぃ?」

「くそかわいくねえ。」


 実来君がスーツのジャケットを脱いで、ベッドに放る。シワになるのを気にしそうなのに。


 口蓋を熱い舌先でくすぐられ、舐られて心晴色一色がそこに纏わりつく。むせそうなほどに責め立てられて、キスだけでも背中が仰け反った。

 
「んん、はあっ。くるし」

「苦し紛れのキスですから。」
 
「なに気に実来君て、キス好きだよね」

「里夏先輩が好きなだけです」

「お、落としにかかってきた」

「堕ちてる癖に。」


 実来君のネクタイを緩める仕草が、実にしとやかで艶めかしい。首筋に隆起する血管にすら翻弄されてしまう。


 暗闇に映える実来心晴に呑まれるあまり、思わずじっとりと見つめて。囁くように伝えてしまった。 


「だい好き。」


 喉を鳴らす実来君が、そっと私の頬に手を添える。私は綺麗なその手に擦り寄って、甘えるように手の平へキスをした。


「あの、彼女になった里夏先輩って、そんなかわいいんですか?」

「……み、実来君にかわいいだなんて言われる日がこようとは。」


 あまりの恥ずかしさに頬が火照り始める。今まで散々けなされてきたツケが精算された瞬間。


 実来君が、私の髪を優しく撫でながらほくそ笑む。


「先輩はかわいいし、とにかくかわいい」  

「〜〜〜っ」
   
「なんでそんなに照れ屋なの?かわいい里夏先輩。里夏せんぱーい、もうせんぱいってば。りっかせんぱーいっ」  
  
「ひぃい、出た、“先輩3段活用”!」


 顔を見られたくない私が必死にしがみつく。この奥義、実来心晴の先輩3段活用は、新車部のお姉様方をイチコロにしてきたスキルだ。


ただしやって欲しい仕事がある時にだけ発動される。 






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