Re:Romance


 共演者であり主演である俳優は当時まだ17歳。


子役時代からの人気俳優で、ちょっとお近付きになりたいとビッチ心で連絡先を聞いただけなのに。テーマパークに行こうと誘われて、私は俳優の恋人というステータスにあやかれると浮かれに浮かれて。


蓋を開けてみたら、実は同じ映画の主演女優とできていたらしく。つまり私は、当て馬ないし捨てゴマにすぎなかった。
 

スクープ写真が雑誌に掲載されて、事務所に怒られ、相手の事務所からも圧力文書が届いて映画を降板。結果的に事務所を自主退所した。


あの時は本当に、あの俳優を刺したい気持ちでいっぱいだった。


 でも今思えば、私も実来君に同じことをしていたのかもしれない。


芸能という職を失った度量は違えど、私が軽率に誘ったワンナイトが、当時付き合っていた彼女と別れさせてしまったのだから。


 しかも高校1年生だった実来君は、あの時私に神妙な面持ちで「責任を取ってほしい。」と話を持ちかけてきた。


高校3年生だった私は、「はは。ただのワンナイトだからムリ。」と、彼の恋心を驚くほどチープなものとして片付けてしまったのだ。


 実来君が私に復讐したいと思うのも無理はない。


一度、マジな謝罪を試みた方がいいかもしれない。取り合ってくれるかどうかは知らんけど。



「で、粗品を持って僕に謝りに来たと。」  

「はい。その節はご迷惑をおかけし申し訳ございません。今後一切私のプライベートに関わらないで下さい。」

「里夏先輩ってヤリマンでももう少し頭いいかと思ってました。」

「会社で名前呼びしないで下さい。」

「ヤリマンって節操ない上に斜め上をいくアホだったんですね。」


 週開け。中古車部棟3階にある休憩室にて。


 昔は整備士たちが時間外労働するための寝泊まりする場所で、監査の厳しくなった今の時代は休憩室として使われている。


といっても新車部棟にも社食と休憩室があり、たまたま今の時間この休憩室は私と実来君の2人だ。


 私が実来君に渡した粗品。それはキャラ弁だった。いや、『ヤリ逃げしてごめんネ。』と海苔でかたどった海苔弁。


 おもむろに嫌な顔をする実来君は今日も美しく蒼碧の血管がえろい。率直に今すぐキスして欲しいし、舌をいれゴホッゴホッ。色欲アレルギーがひどい。


「先輩、僕を馬鹿に」

「してません。」

「海苔がめちゃパリパリなんですけど」

「海苔だけ乾燥剤入りの違うタッパーに入れて、さっきご飯の上にちょんと乗せたから。」 




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