Re:Romance


『島咲さんにはさ、実来君が必要なんじゃないの。』

『……』

『実来君がいないと、彼女寂しいんでしょ?』

『でも、結局、先輩とホテルに行ったことを問い詰められて……』


 実来君が、言葉に詰まりうつむいて。それから、ぐっと厚かましい拳を握りしめ、私を見た。
 

『先輩のせいですよ。』

『え』
  
『彼女に、信用出来なくなったって振られたんです!』

『……うそ』

『だから、僕が振られた責任を取って下さい!』

 
 振られた責任って、何だろうと思った。


 私が彼女に振られた実来君と、恋人にでもなれってこと?


 じゃあ恋人になった私たちは、私のせいで別れた島咲さんの恨みを一生買うことになるんじゃないの?


幸せそうに手を繋ぐ私たちの知らないところで、島咲さんは独りぼっちなんじゃないの? 


 彼女の居場所を求める辛さが、どうしてか自分の中から排除できず。彼女の孤独に共感出来てしまう自分が、その時ほど憎いと思ったことはなかった。


『お願い、します。わたしから、実来君をとらないで下さいっ。』


 あの必死な言葉は、彼女の本心だ。

 
 私が取るべき責任は、きっと実来君を彼女の元に帰すことだと思った。


 だから私は、実来君を突き放した。


 ――――本当は大好きな実来君を。


『はは。ただのワンナイトだからムリ。」 
 
『な、』

『ゴメンネ。私こういう女だからさ。純な彼女のとこに帰った方がいいよ〜」』


 もう一度鞄を肩にかけ直して、笑顔で軽く手を振る。颯爽と振り返って、蒸した髪をわざとなびかせながら実来君の前を後にした。


 いつか主演女優賞取ってやるから。今だけ後ろ向きで泣かせてよ。


 踏みしめる枯れ葉は音を立てるのに、なんだってこんなに暑いのか。温暖化を深刻に解決しようとしない世界も私も大嫌いだ。

 
 言葉と反する気持ちがあまりにも理不尽で、こんな矛盾だらけの世界なんて消えてなくなればいいのにって。涙を流しながら何度も思った。


 彼女に同情する私は、お人好し?


 違うよ。共感だとか、綺麗事で理由づける私は実来君の言う通りずるい女で間違いないんだよ。


 はは、本当は彼女の存在意義がなくなって、それを自分に責任転嫁されるのが怖かっただけなんだよ。


 私が実来君と付き合って、私は彼女を独りにできるほど強くはなれない。


 島咲さんにとっての悪役になる勇気はないから、実来君にとっての悪役に逃げただけ。


 それが、私の過ち―――― 












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