Re:Romance
「うわっ、と!」
後ろから実来君に突然手を引かれて、慌てて大勢を立て直す。
私の心の反論を汲み取ってしまったとでもいうのか。
ただし彼の手の中がやたら熱いのは誤算。さっきまで玲さんに感じていた自分の熱のせいにして片づけた。
「あの、実来くん?」
私の手を引いて、連行するようにどこかしらへと進んでいく実来君。
言ったら絶対に反発してくるだろうなって言葉をあえて使ってみた。
「もしかして、あれですか。古き時代より少女漫画で語り継がれている“嫉妬”というやつですか。」
「いえ、これは少年漫画にも語り継がれている単なる“嫉妬”というやつです。」
え? うそでしょ! この、実来君が? 優等生が漫画を読んでいたとでもいうの?!
「ちなみに僕には断固として敬語なんですか。」
「な、なに」
「いえなんでもありません。それより先輩、来世紀に予想される地球温暖化の主な要因は化石燃料消費を中心とした温室効果ガスの排出だと思いませんか?」
「ええと、すみません。私の勉強不足です。」
「でしたら、もっと端的な質問をするのでYESかNOでお答えください。」
実来君が私の手を放して、私がぶつかりそうな距離で立ち止まる。
小さな信号機のある高架下沿い。ぱかぱかと青から赤に移り変わる、その瞬間。
「僕が中古車200台確保を手伝うので、抱かせてください。」
おいいぃい。告白じゃないんかい。
実来君にとって悪役でしかない私はそらメインヒロインにはなれないらしい。
「あの、セックスしたいんなら私より抱き心地よさそうな真田さんとか来瞳さんでもよくないです?」
「YESかNOで答えろっていいましたよね?」
「なんでもかんでも復讐のためだけに私が身体を差し出すと思ったら大間違いですからね?!」
「じゃあ、それはNOってことなんですね。」
ふふん、と私を見下すような瞳で、私を試すようなえらそうな態度。かわいいやん。いや年下の癖にかなり気に食わない。
あんた、さっき私の過去を暴露したことを忘れたとは言わせねーよ?
だーれが中古車確保手伝うってだけで易々と身体を明け渡すもんか!こっちも負けじと、ふんと鼻を鳴らし威嚇してやった。
で、攻撃を仕掛けたはずの私は、結果的にこうなる。
「――――あ、やっみらいくんっ」
「なんっっって簡単な人――――」
はて、なんでこうなったの?
それは理性と性欲が、美少年という美の暴力の前では太刀打ち出来なかったのだからしょうがない。
それか単なる元ヤリマンの性なのか。
溺愛される悪役令嬢は5万といるのに、セフレを強要される悪役令嬢はリカしかいない。
その着地点は中古車200台確保を手伝ってくれてハッピーエンドらしいからまあいいのか。