Re:Romance
「まッ。い、いっちゃう」
「足並みそろえて」
「り、りずむが! 狂ってます!」
「音程と音域がいまいち合わないな」
その域には達したくない。
令嬢とか言っちゃうおこがましさも、鮮美透涼な実来君の前ではちょろい戯言になってくれる。
息のあるうちに息をするようにシャワーを浴びたい。
実来君が私の身体を拭いてくれようとしたところで、さすがに止めた。
「もう、そこまでしなくていいですってば。」
「なんでそんな棒読み。」
「て、照れ隠し?」
「妙に可愛くないんで辱めてみましょう。」
「は?」
実来君が、あろうことか私を横抱きに抱えてバスルームへと連れて行く。
「ま、まさか沈める気ですか!」
「あ、いいですねそれでいきましょう!」
「なぬ」
「というか先輩、昔に比べて太りましたよね。」
「痩せる理由がないですからね!」
実来くんが、私を抱く片手で器用に蛇口をひねってお湯を出す。
「ねえ、もういいって! 降ろしてって!」
「どさくさに紛れてタメ口効いてくれましたね。」
「タメ口でもなんでも効くから!」
ようやく実来君が洗い場に座って、私を降ろそうと。
してくれなかった。そのままシャワーを出し、私を抱いたまま私の身体を流していく。
「ねえ、いいって、マジはずいから!」
「こういう形の復讐もありかな。」
私の腰を抱く手はしっかりと私の軸を支えて。彼の膝の上に乗せられた私の四肢がだらしなく垂れ下がる。
もう目をつむって安らかに意識を手放させてくれ。
「実来君って、元ヤリマンが好きなの?」
「勘違いも甚だしい。」
「なら好きじゃない女の身体も、洗っちゃうの?」
「野菜を食べる前に洗うのと同じ習性です。」
「わたしを食べ終わった後だよ。」
この美少年、もうなに考えてるのか分からない。アライグマのような習性を持つのもミステリアスで片付けていいものなのか。
「それより、中古車仕入れ先の件なんですけど、」
「ねえ、この状況で仕事の話?!」
「香椎課長はどこの店舗で在庫かき集めたんです?」
「県内。全域。」
「オーストラリアに輸出するのはどこから。」
「横浜港から」
「それならまずは横浜港近くの店舗と中古車扱ってる店を探しましょう。」
「ああ、港までの運送費抑えられるもんね。」
「500台分の利益でうまく年間目標達成できればいいんですけどね。」
「あと半期分を一気に片付けるって?さすがに無理でしょ。」
今のところ実来君の仕入れ販売力のおかげで、中古車販売の売上目標は月間平均8.3%を達成している。
でも今の時代、若い世代の車離れは当たり前だし、車にこだわってきた層からすれば、経済的に利便性のある車ばっかで、デザイン性に富んでいないから昔の車に目がいきがちなんだよね。
昔じゃ一種のステータスが、今では単なる生活用品だ。納車期間の面からいっても、中古車の方が人気があったりするのだ。