Re:Romance
「ねえ、あの。もももう、洗わなくていいってば。」
「ああ、いい具合にお湯、溜まりましたね。」
手で洗うとか、ほんと生身を半生殺しで狂おしいんですけど。
実来君てそもそも几帳面な方ではあるんだろうなあ。ネクタイずれてるところも、スーツの色にネクタイのデザインがミスマッチしている彼も私は知らない。
責任感とこだわりの強いタイプは、セフレにも几帳面にアフターケアまで充実保証しているとでもいうのか。
それなら、いつも送っていってくれないのはなんでなの。
初対面の来瞳さんを駅まで送っていったことが、少しばかり私の中で引っかかってしまう。
こうしてアフターケアをしてくれて、なんなら中古車確保までお手伝いしてくれると言っているのに。それ以上を求めてしまう自分が欲の塊にみえてつまらない。
自分こそ実来君に完璧を求めて、誰よりも大事にされているというステータスを求めているのではないか。
セフレってなんなの。
されるがままで目がうつろになる中、実来君が本当に私を、低めの位置から湯船の中に落とした。
「ぶわっぷ!」
「大丈夫ですよ。足はついてますから。」
そう言って実来君は、「お金は置いておきますので。」と一言残し、バスルームを出て、さらにはホテルの部屋から出ていってしまった。
いつもの実来君とホテルに来た時のルーティーンで間違いないと思い出す。身体を洗ってくれたから儚い夢をみてしまった。
でも、セフレ扱いされてる生活って案外悪くもないんだ。
存在意義という大袈裟な旗を掲げ、承認欲求欲しさにモデルとして活躍したあの日々。永遠なんかじゃないって毎日命を削られながら1日を慎重に生きていた。
それを適当に生かせてくれるのが今。
ある程度の貯金はあるし、一般企業の正社員であればよっぽどのことがない限りクビにはならない。彼氏や旦那がいるわけじゃないけど性欲は満たされる。気にするものといえばBMIと年金くらい?
人が100年を生きる時代だから大事すぎるものがないのがいい。自ら処刑台に立てにいける人生って悪くないもんだよ。
ねえ。実来君は、結婚のこととか考えてる人?
私はね、打算的に考えてるよ。
したくないって周りにキャリアウーマン気取りの予防線張って、頭の片すみでは、幸せな結婚生活が送れる保証があるならしたいってね。