Re:Romance

「朋政がさ、親に逆らって生きてきた典型なんだよ。それなのに俺は、生まれてからここまでレッドカーペットの上を歩いてきてんの。」

「うん」

「反逆しない自分が、きもちわりーわ。」
 

 その割に、自分が嫌いじゃない香椎が羨ましい。きっと家庭以外で、いい影響を与えられてきたんだろうね。 


 仕方ねえなー。と、私はあからさまなため息を吐いてみせた。


「香椎が反逆しないのはさ、優しすぎるからだよ。」


 私の言葉に香椎が、「ふぇ。」とマヌケた声で反応する。


「自分がした一つの反逆が、いくつもの路線で不具合を起こしたりするじゃん。その尻拭いをするのは全部、お父さんやお母さんだから。きっと香椎はそれが分かってるから。反逆しないよう自分で制御してるんだよ。」


 香椎に期待してる親なんだから、反逆の一つや二つや三つくらいして甘えてやればいいのにね。 
 

 香椎が私と実来君の距離感に気付いてしまったのは、いつだったか。


『距離感近いのに、なーんかギスギスしてるよね。なにがあったの? お兄さんに言ってみ?』


 でも香椎は実来君を怒るわけでもなく、かと言ってヤリ逃げした私を咎めるわけでもない。笑って見過ごしている。


それは勝手に香椎が、私が実来君を好きだからと悟っているからで。


 香椎のひけらかさない優しさは、確かに好きだった。でも私の心を分かろうと距離を詰める優しさが、時には辛すぎた。

 
惨めになるんだ。


「りか、」


 急にささやくように言うもんだから、心臓がきゅっと小さく緊張した。 

 
 私は香椎から窓の外に顔を向けて。居づらくなって、そろそろ行こうかなと席を立った。 


 でも香椎の腕が、後ろからきつく私の身体を捕縛する。




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