Re:Romance
「制限時間10分で、僕が先輩をいかせられたら僕の勝ち。いかせられなかったら先輩の勝ち。勝った方は負けた方になんでも一つ要求できるってことで。」
「ストレートに賭けからえろぶっこんできたね。」
「復讐なんで。」
「復讐ですものね。」
すでにゲームでもなんでもないよね。
思った通り、仕事終わりにマンネリのラブホコースかよと思っていたら、実来君が横浜市内のだだっ広い公園の地下駐車場に入っていく。
……え?市営駐車場?
一番壁際に駐車した実来君。地下駐車場内の明かりは申し訳程度のダウンライト。
嘘だ。
「……待って。真面目で誠実で仕事熱心な実来君。」
「なんですか。僕とのセックスに不満気味な里夏先輩。」
実来君とのセックスの評価が★☆☆☆☆だなんて一言も言ってませんけど?
実来君がスマホを取り出し、静かにタイマーを10分にセットする。さりげない人差し指のタップが官能を誘うようで。まず先に100台分の金額を完納すべきだ。
「眼鏡、外しますね。」
「……は、」
「お次はマスク、取ります。」
「は、はいぃ!?」
歯医者なの? 待って! 私昼に味の分かんないカレー食べた!
実来君が、私から眼鏡をとってダッシュボードに置くと、今度は私の耳元からマスクのゴムを外して。
シートベルトに挟まれる私は、何がなんだか分からずきゅっとシートベルトを両手でつかむ。
「まままま、待って、キスから始めるの?!」
「キスからスタートの、キスでゴールを決めようかと」
これは、事前予告するという心理ゲームなのか。
せっかくキスから始まるというのに、なぜこんな後ろめたい要素だらけのシチュエーションなの?
実来君の吐息がかかる距離でも、私は心構えができず。必死に肺呼吸する背景では心臓が悲鳴をあげている。
唇が触れて。一旦離れて。
「……カレー味?」
「……泣きたい。」
「泣きながら僕にしがみついて下さい。」
私の下唇を舌先で舐めて。そこからぱくっと唇をはむように。ゆっくりと舌先が入ってきた。
「んっ」
知らない知らない!
素肌を合わせない実来君とのキスなんて。冒頭の初めましてだよ。
実来君のお情けにより、私はシートベルトから実来君の白シャツに、ぎゅっとしがみつく。
ただただ彼の淡い唇はゆっくり、ゆっくりと。舌で濃厚に壁を探られたかと思うと、ちゅっとゆるいだけのキスに甘くなる。緩急よりも、むらのあるキス。
「せんぱい、」
「ふぁい、」
「香椎課長とは、どんな関係なの?」
「お、おんぞうしと、しょみん……」
「はい?」
「か、課長と、ぶか、です」