Re:Romance

 で、私がこれでもかってくらい喜んでやるのだ。


「やったー! 実来君と初めてのご飯~! うっれしいなあ♪」


 すると実来君が、慎重にハンドルを右に切り、慎重に横断歩道を確認する。「ギャハハ。」と高らかに笑い合う女子高生たちが、ゆっくりと掠れた縞々の上を渡っていく。


「僕とご飯に行けるのが、嬉しいんですか。」

「え? 嬉しいよ? 嬉しいに決まってんじゃんこの万年マンネリ美少年ー。」

「女子高生って可愛いですねー。」

「私も昔は女子高生だったよ?」

「先輩のは復讐対象でしかありません。」 
   
「ですよねー。」


 本気でこの美少年は、私とご飯に行くというマンネリ回避策を思い浮かべなかったのだろうか。


 頭いい癖に女の扱いを知らないタイプか、実来心晴26歳秋。でも彼女いた癖に私と寝たしな。


 実来君がとんでもない遊び人ならば、実来君への想いにも踏ん切りがついていたのかもしれない。


 何事にも真面目だから、翻弄されっぱなしで困るのだ。そんな君が好きなのだけど。


 それから事務所に帰った私たちは、香椎への報告を事細かに済ませた。仕入価格は合格点。スペックがギリギリのものが多い点が、コアラに足元掬われる可能性大だな。と香椎は呟いていた。


 実来君は、今後もそのスピンステージ横浜店での中古車買い付け許可をもらっていた。


「あー新規仕入先ね。輸出の件は定期で続くわけじゃないだろうけど、今後の仕入の分散を図るにもいんじゃない?」  
  
「ありがとうございます。」

「って中古車のことばっかやってねえで、新車の営業も頼むよ実来?」

「はあ。中古車のことばかりに気を留めている香椎課長に言われましても、説得力に欠けます。」

「言うねえ。」

「中古車300台確保には及びません。」  

「おっし。今日もその冷め切った下剋上、しかと受け取ったわ。」      


 隣に立つ実来君の態度は、肘掛け付の椅子に足を組んで、ふてぶてしく腰掛ける香椎と同率にみえてしまう。

        
 成績優秀者は、御曹司にも盾突く特権が与えらえるのか。


 新車部事務室にいる人々が、ハラハラと視線を泳がせている。そんなに皆さんの空気を重くさせてるの? 本人たちそんなつもりないから笑いものにしてやって。  
 

「叶恵、なんで眼鏡してマスクしてんの。蜂の巣駆除でもすんの?」


 香椎に、私の残念な姿を指摘され、適当に「私のカレー臭さで世の人々を不快にさせないためです。」と宣言しておいた。


「カレー食ったの?元カレーとも今度カレー食いにいこっか。」

「そうですねー。今すぐ元カレイだったヒラメになりたい気分ですー。」

「いいね、海鮮ね!」

    
 なにもよくはないよ香椎!


 隣の実来君にはひややかな視線を投げられて。それから香椎とも何か意味深な視線だけのやり取りが行われていた。


 フィルター越しには御曹司と美少年の高雅な触れ合い。眼鏡をとったクリアな視界には不穏なやり取り。居づらくなって、私は早々と新車部の事務室を後にした。


 新車部の皆さんの気持ちがなんとなく理解できる。





  
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