Re:Romance
Hunting


 

 事務員がもう一人いてもいいじゃん。


 そう思っていたら本当に来たから、私の思いは人事部に届いたらしい。先週課長から、来週から事務員として派遣さんが一人入ることになったと説明があった。

 
 募集していたことすら知らなかった私と高市さんは、とりあえず両手を挙げて泣きながら喜んだ。


 そして今日、その派遣さんが入社したのだ。  


「初めまして。本日よりこちらで派遣社員として働かせていただきます、日比野《ひびの》芽衣《めい》です。よろしくお願いいたします。」


 高市さんより若いと思う。私が高市さんと日比野さんを見比べていれば、高市さんに目を細め睨まれた。 


 濱部課長が、高市さんの右隣の席に彼女を案内する。で、当然教育係は私なわけだ。


「初めまして日比野さん。叶恵里夏です。今日からよろしくお願いします。」
「初めまして叶恵先輩! よろしくお願いいたします!」

 
 気品ある姿勢と、物おじしない言葉の端々。そして私という初対面の先輩に向ける明るい表情。

 
 まだ制服のない彼女は、ノーカラーのスーツ姿で、社内に相応しいブラウンの髪色と、ハーフアップのストレートヘア。


 背は高市さんよりも低めで、無邪気な笑顔が可愛らしい。  


 彼女のデスクで一通り仕事の流れを説明したところで、高市さんに教育係をバトンタッチした。


 午前中は、参加したくもない取引先との商談に同席しなければならない。

 
 新車部の営業の癖に、香椎と実来君が中古車の仕入れを手伝ったということで、今回の商談はこの二人が出陣することになっているのだが。 


 個人相手の接客しか経験してきていない事務員の私が、なぜ法人相手の交渉の場に居合わせなければならないのか。

 
 それはもう。どうにもこうにも。致し方ない自業自得な理由があるのだ。 


  
 目の前の央海倉庫《おうみそうこ》から颯爽とやって来た二人組の営業マン。


 私って、つくづくイケメンに縁のある行き遅れだと思う。二人とも世間一般目線でいうところのイケメンだ。カタカナ4文字で事足りる程度の。


「初めまして、央海倉庫オーストラリアメルボルン駐在員の朋政《ともまさ》です。」
「本部海外事業部の六神《むがみ》です。」


「俺は新車営業部の香椎で、」
「初めまして。新車営業部の実来と申します。」 
 
 
 コアラ、ムキシツ、オンゾウシ、ビショウネン。
 

 程よく引き締まった空気の中で交わされた名刺交換。






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