Re:Romance
「その金額なら無料保証はつけられない。」
「メーカー製備品なのに? 保証はオプションなの?」
「違う。ムラノメーカー整備600台、他社整備100台だ。もし俺の提示する金額にするってんなら700台全てにメーカー保証をつける。」
「それならその600台だけで十分なんだけど?他社製備品100台に関してはどうもスペックもギリギリのものが多いみたいだし。」
コアラが不敵な笑みで、的を得た回答を香椎に突きつける。
当たり前だ。スピンステージで仕入れた100台はムラノの整備工場でメンテナンスされたものではないのだ。それなら信頼性の高い600台だけで十分だ。
「ちなみにメーカー保証というのは?車検に、無料保証期間1年ですか?」
タブレットをスライドさせ、資料を見ていた六神さんが、顔を上げ香椎に言った。
「ああ。」
「オーストラリアにはメーカー整備工場が2か所しかないんですよね?不具合があった場合、納品までに時間を要すると思うのですが。」
「直営工場は2か所だが、整備できる工場は12か所だ。他社工場と提携してる。」
「それにしたってオーストラリアの国土面積をみれば、工場までの運送時間に整備期間も入れてそれなりの期間を要しますよね?」
丁寧且つスピーディ、お客様は神様精神が日本文化である一方、海外は勝手が違いすぎる。一度修理に出しただけで3ヶ月返ってこない可能性もあるのだ。その間に保証期間など終わってしまう。
そこで実来君が、ある提案をする。
「例えば、保証期間を2年に延長するというのは?どうでしょうか。」
香椎が片眉を上げて。コアラと六神さんが実来君の方を見る。
「法定費用に販売店手数料に本体価格、合算した消費者価格から考えて逆算していけば、香椎課長の提示金額は真っ当かなと思います。それでも他社製品との差別化を図るというのであれば、保証期間2年、それに補償範囲の拡大を提案させて頂くというのはいかがでしょうか。」
実来君は香椎の許可が優先というように、香椎の方ばかりを見ている。
美少年が、クライアントよりも自分を上目遣いで見上げる姿、可愛いんじゃないか? ん? 香椎よ。YESと言ってやれ。
「補償範囲の拡大はアリとして、保証期間長いのはサービスに依存する客が増えそうで困るんだよなあ。部長に聞いてみっか?」
「じゃあさ、香椎。」
考える香椎など目にもくれず、コアラが笑顔でよからぬことを言う。
「その提案で700台購入する追加条件として、実来君と今度一緒に飲みにいかせてよ!」
「は?」
「無料保証2年に車検付き、飲み会には実来君付き。はい交渉成立☆ 一本締めー。」
美少年は香椎よりもクライアントの方に有効でした。
六神さんが「公私混同ビジネス?アリなら俺もその飲み同席します。」と感情の無い顔で言った。
実来君は当然嫌そうな顔をする。
頑張れ実来君。そして五智川玲の200台分まで、ありがとう!実来君の尊い犠牲!