Re:Romance
Invitation



「先輩、顔が瀕死です。」

「え、“目が死んでる”んじゃなくって?」

「残念ながら。顔がまるごと瀕死です。」 

 
 会社から一緒に行くとまずいから、実来君とはタコ居酒屋の最寄りの駅で待ち合わせした。


 メイクを直す暇もなかった。


 証明書穴開けの件は、センターに問い合わせたところ一応有効なのだそう。ただし本来原本に穴を開けることなどあってはならないから、ミスした派遣さん本人から連絡してくるべきだ、とセンターのお局様に怒られた。


 そんなこんなしている間に、新車部ショールームのイベントヘルプに来て欲しいと駆り出され、あっという間に待ち合わせ時刻30分前。実来君の第一声が“瀕死”だった。    

 
 ちなみに今日は日曜日だ。車関係の会社は大抵月曜と他平日が休みで、土日は出勤。


 明日は休みだからといって、もう実来君には流されないぞ! ラブホ直行コースの課金はしない!


 そう意気込んで居酒屋に着けば、本日厄日確定。
  

 なんと居酒屋には、真田さんと、なぜか日比野さんが一緒にいたのだ。


「あっ? え、ええ?! 実来くん、と叶恵さん?!」

「……まじか、真田。」


 なぜ、この組み合わせ?


 いやそれよりも。私達が知り合いだと分かった店員さんが余計な気を利かせ、お席はこちらでいいですか? なんて真田&日比野ペアの隣の席を案内してくるからどうする。


 実来君が、「しょうがないか。」なんていうから、仕方なく死の正四角形が完成してしまった。

 
「……ご、ごめんなさい。真田さんと日比野さんの席をお邪魔しちゃって。」

「いえ。というか、叶恵さんと実来君って、よく飲みに行ったりしてるんですか?」 
 

 繋ぎを脱いだ真田さんは、とっても女子らしいふんわりスカートを履いている。


 よかった、私、スカートにしなくて。気合入りすぎだと実来君に思われるのもなんだし、薄手のニットにベージュパンツで来たのだ。  

   
 真田さんたちにデートだと思われるのを回避できそう。

 
「いや、先輩と飲みに来たのは初めてだよ。」

「そうそう。今日は、たまたま。帰りが一緒になったので、私から誘ってみたんです!」

「いやそこは僕から誘ったことにしとけばいいんじゃないですか?」

「いやいや、君アルツハイマーなの? 実際私から誘ったじゃん!」


 実来君の不可思議なフォロー?を、受入拒否した私。だって、真田さんに変に思われたくないっしょ?


 実来君と真田さん、社内でもお似合いだって噂になってるんだよ?





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