Re:Romance


「先輩、僕の前ではタメ口にしたらどうです?」

「自分を見失いたくないので敬語でけっこうです。」

「世知辛い女。」

「せめて面倒な女と言ってください。」

「ならば、言い方を変えましょう。」


 スーツのジャケットを羽織る実来君の後ろ姿。社会人なのに、今だ美少年の称号を獲得しているスタイル。いい。


 私は元モデルとあってか167センチと高身長だ。それに対し実来君は177センチ。わずか10センチ差。定規をみれば10センチなんて指で図れるほどの距離。


 私からすれば彼はいつだって微々たる少年。これはきっと、恋愛エネルギーが枯渇した私からすれば推し活に近い情の類。


「次、僕が優勝したらタメ口にして下さい。」

「は? そんなんでいいの?」

「もはやタメ口じゃないですか。次回の優勝商品どうしてくれるんです?」


 振り返り、ベッドに座る私を見下ろす彼。闇夜にまどう蒼の双眸を携え。私を不可思議にあざ笑うのだ。
  

「ならば。次もこの“使い古し”をえろくしましょう。」


 私のスカートから覗く膝に、人差し指と中指の二本が這う。私を酷使していた彼の指に、中核を突かれているようなめまいを覚えかける。


 意識は、爪先をピンと張り維持させる。彼に堕落してはいけないと。 


「中古車部の中古だと、口惜しみのアイロニー(皮肉)ですか。」  

「口惜しみ?」

「高校時代の彼女との仲を破滅させたこと、そこまで恨んでるんですか。」

「はい。中古車部の中古さん。」


 辛辣な言葉をかけられ身体を熱くする私は、新たな性癖に目覚めそうで泣きたくなる。使い古しを有効活用してくれてありがとう。とは思うだけで言いはしない。

 
「ではまた。次の試合でお会いしましょう。」


 アデュー。


 7戦目は牛乳早呑み対決にしてみよっか?


 使い古されたヒロインはいつか、彼の復讐心を大きく打ち返せる日はくるのだろうか。








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