Re:Romance
それが、彼女からの一度目の告白。
それから一週間も経たずして、僕は二度目の告白を受けることとなる。
同じように、僕の家の最寄りのバス停。
『実来君、好きです! 付き合ってください!』
島咲七花が、同じように二つ結びの髪型で、同じように僕に向かって頭を下げた。
『僕を、からかってる?』
『なぜ? 私は、毎時間毎分毎秒、実来君のために実来君だけを思って、美しい実来君に対して誠実に生きているよ?』
この人、ヤバい部類だ。
『私は、実来君が好き。愛しています。付き合ってください。』
『理解、できない。』
『なぜ? 私は、こんなに実来君のことが好きで、実来君を観察して日記までつけて。実来君の朝の登校風景も、実来君の体育してる姿も帰る時も。全部全部写真にまで収めているのに。』
そう言って、自身のスマホを鞄から取り出し、僕に画面を見せつけてきた彼女。
恐らくそこには、横顔の僕が映っていて。
彼女はまぶたを下げて僕に笑いかけた。
「私は、この顔の実来君が一番好き。」
ゆっくりと口角を上げる彼女の顔。女性に腹の底から気持ち悪いと思ったのは、後にも先にも彼女だけだ。
これが所謂、ストーカーなのだろうか?
実はその頃、自分の持ち物がよく失くなることがあった。消しゴムやシャーペン、お弁当箱についているプラスチックの箸まで。
『前にも言った通り、僕が君を好きになることはない。』
『なぜ?』
『感情に突き動かされてるだけの君には理解できない。』
『なぜ?実来君だって、感情に突き動かされてるよね?』
『どうしてそう言えるの?』
『どうしてって。入学式で答辞を読む人間が、普通入学式直前に女の先輩を助けたりしないでしょう?』
『……え』
『有名な話よ。モデルの叶恵先輩を、入学式で助けたんでしょう?』
『……』
『モデルには感情に突き動かされるの? ねえ、実来君。』
彼女の表情も抑揚のない声も不気味で、やっぱり気持ち悪いと思った。
僕はそのまま彼女を無視して、帰ろうとした。
でも彼女の横を通る時、彼女は言った。
『実来君のこの横顔、真剣すぎて怖くて好きだよ。』
横目で彼女をみれば、彼女が食い入るように自分のスマホに見入っている。
僕は足早に家路を急いだ。
衝動的な感情に突き動かされない人間であるはずの僕が、端から見れば島咲さんと同じ部類の人間に入るのか。
あのスマホに映っていた僕は、体育館の二階から里夏先輩を眺めている僕だ。
僕は、気持ち悪い人間なのか。