Re:Romance
それから夏休みに入って彼女と顔を合わせることはなくなり、新学期に入ってすぐに文化祭が訪れた。
僕の和服姿が珍しいと、僕の写真を取りに来る女子が多く、うんざりしていたクラスの和カフェ。
『きゃーありがとう実来くんっ!』
『美男子眼福。この写真絶対部屋に飾ろ。』
島咲さんに出会ってから、こういう女子が増えたと思う。
中学までは可愛いと言われることが多かったのに。高校生になって、なぜか拝まれる存在になっていた。
それが、妙にズキズキと胸の奥底で痛むから。ああ、こういうことをされるのって。
決して“いい感情”を生むだけではないのだと知った。
恥ずかしい、うざい、イライラする、気持ち悪い。
里夏先輩のクラスは、クラス全員メイド姿でワッフル店をやるらしい。ただ里夏先輩があまり学校に来ないことは知っていたし、文化祭も参加していないものだと思っていた。
それが、天は気持ち悪い僕に味方した。
『あのさ、実来君って子、いるかな。』
二つ前の席に座り、そう他の生徒に尋ねた里夏先輩。
入口から入ってきた時から当然知っていた。神々しいオーラを放つ先輩が、なぜか僕を探している。
――――――……
『連絡来なかったらどうしよう。って思ってくれてます?』
『思ってないようで、思ってるよ。』
『男をその気にさせるのが上手いですね。』
『そう、みえる?』
『はい。360度、どこをみても。』
上手く先輩のオーラについていけてるだろうか。
まさか連絡先を渡されるなんて、思ってもみなかった。
動揺を限界まで抑え込んでプレスして、他の女子がいう美少年のオーラで僕を保ち続けた。
でも、当然本物には勝てやしない。先輩の誘いに乗った僕は途方もない馬鹿だ。ラブホの部屋で、僕は先輩のオーラに充てられてついて来てしまったのだと悟った。
初めて見たラブホという部屋の一室。思っていたよりもシンプルで、ただどこかで見たことのある道具やスモークのかかるガラス張りのお風呂場を見て、急に現実味が押し寄せた。
『実来君、帰りたかったら私がシャワー浴びてる間に帰っていいよ。』
『……え、』
そう言われて、正直尻込みした。からかわれただけなのだろうと、僕は一瞬、帰ろうと思った。
でも先輩が僕から顔を反らし、うつむいて顔を赤くするから。
『それと、入学式の時。助けてくれて……ありがとう。』
僕を誘った明白な理由。
そんな風にお礼を言われて、僕は本能的に、感情的に突き動かされてしまったのだ。