Re:Romance
――――――……
『先輩、責任取って下さい。』
『……は?』
『僕を誘った、責任を。』
責任だなんて当てつけのように、したたかな僕でしか告白が出来ない。
怖いのだ。したたかな僕で固めなければ、プライドも自負心も、粉々に打ち砕かれるのがただ怖かった。
『……なんで?』
『なんでって』
『てか。彼女、いたんだ。』
『……まあ、はい。』
彼女がいたという事実に変わりはない。
ただ短命なだけで。
『島咲さんにはさ、実来君が必要なんじゃないの。』
『……』
『実来君がいないと、彼女寂しいんでしょ?』
『でも、結局、先輩とホテルに行ったことを問い詰められて……』
僕は、言葉に詰まったような振りをしてうつむいて。それから、ぐっと責任転嫁の拳を握りしめ、里夏先輩を見た。
『先輩のせいですよ。』
『え、』
『彼女に、信用出来なくなったって振られたんです!』
『……うそ』
『だから、僕が振られた責任を取って下さい!』
間違ってはいない。島咲の知っている僕じゃなかった。島咲の信用を失くしたのだ。
先輩が罪悪感を感じて僕のものになればいい。
彼女と別れたことを里夏先輩のせいにして、自作自演をする僕はすでに手遅れなのだ。
自分の気持ち悪さを自覚してしまえば、実行に移すのは早かった。
でも僕の考えは甘かった。そこに佇む叶恵リカは、あの時ベッドで僕にすがる叶恵里夏じゃなかった。
僕はただ、甘い幻想を見せられていたのだ。
最初から僅かな可能性に、したたかさが後押ししていただけで。幻想を見ていたに過ぎなかったのだ。
そもそも棲む世界が違う人。たかが僕本位の自作自演では、手は伸ばせても届くことはなかった。
『はは。ただのワンナイトだからムリ。』
全てが水の泡だ。
困ったように笑う先輩は、残酷を紡いで綺麗を纏った。
先輩の前を舞う一枚の蒼碧の葉が、先輩の足元に落ちて茶色い枯れ葉となってく。
『ゴメンネ。私こういう女だからさ。純な彼女のとこに帰った方がいいよ〜』
僕は先輩ほど、うら悲しい秋の風景が似合う人を知らない。
美しくも残酷で、狂い咲きにも似た狂気の桜の葉。
忘れられないんですよ。
あなたという綺麗な存在を抱いて、抱かれたことを。
きっと、この先ずっと。