Re:Romance
とりあえず真田さんの怪我の状態を確認しようと、真田さんの元に行く。
「真田さん! 大丈夫!?」
「あ、はい。私はこの通り。大丈夫です。」
相当驚いたのか、少し青白い顔をしている。
どうしよう。てか私、無意識にぶつかったの?
「あの、叶恵先輩、私、真田さんを医務室に連れていきますので、すみませんが見積の方、お願いしてもいいですか。」
「……ああ、うん。じゃあ日比野さん、真田さんをお願いしてもいい?」
「はい。」
日比野さんが、真田さんを下の階にある医務室に連れて行く。
私がはっとして、新車部の事務室へ上がろうとすれば、下の階にいた営業マンに「叶恵さん!」と呼び止められた。
「真田さんにちゃんと謝っておかないと、変な噂立てられるぞ!」
いらないお世話を言われてカチンときた。
でも今はそれどころじゃない。とにかく向田さんに見積書を届けに行った。
なにがなんだか、腑に落ちないことだらけで。噂なんてどうでもいいことだけど、今の私の心拍数は爆上がり。
私がぶつかったことになっているなら、後から真田さんに謝りに行かないといけないよね……?
「ってことがあってさあ〜!!」
「え〜? つまり里夏がジェラって、その真田ちゃんを階段から突き落としたってこと?」
「だからあ! 違うってば!!」
居酒屋絆花にて。
モデル時代の友人、みちるに今日あった事件もろもろを語れば、何一つ私の肩を持ってもらえない事実。
結局私は、わけがわからないまま真田さんのところに謝りに行ったのだ。
それなのに! なんだってんだい既婚者風情が! 独身を極めている私の言う事なんて右から左に受け流し、リンゴとキュウリのサラダを彩るのに励んでいる。
「里夏、男関係で会社から干されたらシャレんなんないよ?」
「だから私はなんもしてないって!」
「セフレと元カレがいる時点で大事件だから。」
「ご、ごもっとも。」
ほんとだよ、せめて店舗分散しろよセフレと元カレ。
一人寂しく黒ビールジョッキ片手に胡麻だれ大根ステーキをつまむ。美味すぎて箸が進むのに、今日の出来事はどうにも納得できない。酒の力で涙出そう。
「香椎に相談したら?」
「今週から海外出張。」
「上海ハニーに夜の手ほどき?」
「台湾レディと夜な夜なランデヴー。」
「いや、33歳じゃもう身体がもたんだろうな。」
「せいぜい熟女バーで膝枕だろうね。」
どうでもいい香椎の話に花が咲き、ちょっとだけ気が晴れた。黒ビールを一気に飲み干す。
香椎とのキスに? 実来君とのキス? ああ、ほんとだ。すでに大事件。でも今はそれよりも大惨事。
さすがに疲れてメガネを外せば、みちるが「待った」と小声で言った。