Re:Romance
「課長、一番目の件に関してはすでに謝罪済ですし、他の件に関しては日比野さんのミスが原因でして、」
「謝罪って、何か文書みたいなものを提出したの?」
「文書? いえ、口で謝っただけですけど。」
「はあ。あのねえ、社会のパワハラをただの言葉で片付けることが通用しないのは分かってる?」
「……というか、そもそも日比野さんが違う顧客に違う請求書を送ったり、証明書原本に穴を開けたり、しかもお得意様に対して喧嘩口調で対応したりしてたからでして、」
少ない髪が頂上にあるかを確認しながら、頭をぽりぽりと掻く課長。そして「あー、参ったなあ。」と頬杖をつく。
どう考えたって、ミスが多すぎる日比野さんがおかしいでしょう。
「できれば支社のコンプラ室まで持っていきたくない案件なんだよ。ほら、うちの店舗の評価に関わってくるでしょ?」
「はあ。」
「日比野さんのミスが多いのはまあ認めるよ。でも君の口調がキツいのも確かだから。」
「……」
「悪いんだけど、始末書書いてくれる?派遣会社はそれで店舗止まりで収めてくれるって言ってるからさあ。」
「は?」
「頼むよ。あ、名前だけ君にして、高市さんに手伝ってもらってもいいからさ。」
は、あッ゙っ?!
それなら一から十まで課長が面倒みてよ!!
濱部課長の、めんどくさいことは人にやらせる精神もおかしいけど、どう考えたって日比野さんが一番おかしい!
自分がミスしたのに派遣会社に苦情出すなんてあり得ないし、それを受け入れる派遣会社も派遣会社だ!
私は課長に、日比野さんのミスが多い件についても、私が始末書と一緒に報告書をまとめて、派遣会社に提出してもらうよう頼んだ。
日比野さんとは必要最低限の会話だけで、本当に簡単な作業だけやってもらうことに決めた。これ以上関わるだけ無駄だ。
「……先輩、なんか先輩って、損な性格ですよねぇ。」
「はあ。昔散々遊んできたツケが回ってきたのかな。」
日比野さんが郵便物を出しに行っている隙に、高市さんが高速ブラインドタッチで日比野さんのミスに関する報告書を作成していく。
このままでは中古車部は破滅するため、高市さんが率先して手伝ってくれることになったのだ。
「というか、なんで濱部課長は日比野さんに直接注意しないんですかね?さすがにおかしくないです?」
「う〜ん。ここまで酷い課長だとは思わなかったわ。」
「香椎課長、早く帰ってこないかなあ。なんでこんな時に限って海外出張かなあ。」
「それな。」
というか私、香椎に連絡取ろうと思えば取れるんだけどね。でもさすがに派遣一人のことで迷惑かけるわけにはいかないよね。