Re:Romance

「あの、お言葉ですが、この画像の女性はどう見ても私のような高身長があるとは思えないんですが。」

「でも君は確かにお昼頃、整備工場に行ったんだろう?」

「行きましたけど、真田さんに用があっただけですぐに戻りました!」

「でもねえ、その画像の上の時間と容姿から察するに、君しか該当する人物がいないんだよねえ。」

「と、言われてましても。私が納車前の車を傷付けるメリットはどこにもありません!」


 三者三様、大きくため息をついたり腕組をしたり頭を搔いたり。揃いも揃って役職者が誘導尋問ですか?


 そもそもなんで私が顧客の大事な車に釘を刺すの?それにここで私が出てくる意味も分からないし、この画像の人物が私のモノマネしている意味はもっと理解不能。


 なに? わたしって、無意識にそんなに事件を起こせるほどアルツハイマー患わってる?!


 ってそんなわけあるか。いやこの件はどう考えたっておかしいって!!


「メリット、というかねえ。まあ、とりあえずパワハラに捉えずに聞いてくれよ?」

「……え?」


 橋田部長が両腕を机に乗せ、少し前かがみになって身体を低くする。


「君の噂が出回っているのは知ってるかね?」

「いいえ、」

「君が、私情のもつれで真田さんを目の敵にしてるって。」

「は、はぁあ?!」

「つまり、今回のこのタイヤを傷つけた件は、君が真田さんに罪を着せようとしてやったことじゃないかって。噂が流れてるんだよ。」

「ちょ、ちょっと。そんなっ! あまりにも理不尽すぎます!!」


 思わず机に手をついて音を上げてしまった私。でもさすがにそんなことを言われちゃ黙っちゃいられないよリカ。  


「しかしねえ。君、真田さんと実来君が3台の車を目視で点検したタイミングを知っていたのは事実でしょう?」             


 整備工場の宍戸長が、手を組み私を見た。 


「真田さんに用があったと言っていたけれど、その時に君は真田さんと実来君の会話を聞いているはずだ。」

「……それは、そうですけど、」


 確かに、車検終わりの3件分の目視確認をするという会話は聞いていた。だからといって、私がその後にわざと、釘を刺しに行くだなんて証拠が不十分すぎる!


 すると濱部課長が、「ああ、」と鼻で笑うように言った。  
 

「真田くんと実来くんが二人で話している姿に嫉妬したって感じ?」

「なッ、」


 怒りがこみ上げて濱部課長を睨んでやる。


 信っじらんない! 直属の上司なら部下を守るのが仕事でしょ?! なにその、人の図星をついてやって楽しいって感じ!





< 77 / 96 >

この作品をシェア

pagetop