Re:Romance
「火曜だっけ。叶恵くんが真田くんを突き落としたとかなんとか。」
「い、いえ、あの。それは……」
「また感情的になって、真田くんのせいにしてやろうと納車前のタイヤに傷をつけたってことか。」
「ま、待ってくださいっ!! どう考えたって、そんなの社会人がすることじゃありません!例え私情が絡んでいたとしたって、お客様の車に傷をつけるなんて……」
クソ。何もしてない私がここまで咎められるのが悔しくてたまらない! 私は絶対になにもしてないのに!!
それなのに……。なんでこんなに、声が震えるの……。
最後まで断言しろ。役職者どもに冤罪でいいように誘導されるな! やってないんだから。
何がなんでも認めるなよ、里夏!
「わたしは、本当になにもしてませ、」
「それはつまり、私情のもつれがあたっていうことは認めるのかい?」
橋田部長が、机に肘をついて、手にあごを乗せる。
食い入るように私から目を離さない。
意味がわからない。こんな、私の味方が一人もいない中でやってもいない罪を問われて……。
3人の目が怖い。なんで皆そんなに、私を加害者にしたいの? ねえ、私が、なにしたっていうの?
このまま罪を認めた方が楽になる気がして、自分に負けそうになるのって、こういう状況を言うのかなあ。
急に加害者の被害者ヅラしている気分になって、気持ちが安定しない。
どうしたらいい? ねえ、わたしって。なんでこんなに昔から人生安定しないのかなあ。
わたし、この会社から消えるべき――――?
その時、会議室のドアを叩く音が聞こえて。
宍戸長の声で一人の人物が入ってきた。
「失礼します。今回の件で、確認しておきたいことが数点ありまして。僕の同席許可をお願いしたいのですがよろしいですか。」
――――実来君だ。
「……ああ、いいだろう。」
「失礼します。」
実来君が、私の隣に座って。
ついその所作に目がいく。こんな状況でも酷く冷静で、安定の美少年の温度を感じる。
きっととんでもない顔をしている私。悔しくて悔しくて辛くって。
負の感情が入り乱れる私に、実来君がふと小さく笑ってみせた。
『大丈夫ですよ。』
そう言ってくれているような気がして。私の膝から、そっと私の左手を取って。
そのまま実来君の膝の上で、ぎゅっと指を絡めて握りしめてくれる。
それだけで、涙があふれそうになった。