Re:Romance
「……あの、私がやりました。」
「先輩っ」
「私が、実来君と仲良くしている真田さんに嫉妬して、真田さんのせいにするために、私が納車前のタイヤに釘を刺しました。」
「先輩!」
「実来君、ごめん。ほんとなんだ。私ずっと真田さんに嫉妬しててさ、つい感情的になっちゃって。」
軽く笑ってみせてから、その手を振りほどいた私。最後の指が離れる感覚が、なんとも切ない。
「なんだ。やっぱり叶恵くんの嫉妬だったんじゃない。」
濱部課長にふてぶてしく言われて、頭の中でそのツラに椅子を投げつけてやった。
「私も女なので。嫉妬の一つや二つくらいして暴挙に出ますよ。」
「ほう。怖いね女の暴挙。」
「ありがとうございます。」
「叶恵くん、立場分かってる?」
実来君がまた何か言おうとしたところで、私は「もうこんな嫉妬深い彼女とは別れる?」と悪の彼女役を演じて阻止した。
どれだけ自分が馬鹿なことをしているかなんて分かってるよ。
でもね、私、嬉しかったんだよ。
高校の入学式で私を助けてくれたこと。今こうして私を助けに来てくれたこと。
他の誰でもない、私のヒーローは実来心晴でしかないんだよ。
こんなに私を好きにさせてどうするつもり? ますます悲劇のヒロインになる一方じゃん。
大好きだよ。実来君。
実来君と出会ってからも男と散々遊んだし付き合ったし。それでもいつも頭の片隅には実来君がいて、私を「先輩」って呼ぶんだよ。
きっとこの先も実来心晴の呪いに蝕まれて生きていくんだろうね。
職場が居場所だなんて嘘ばっかだ。実来君がいるから居場所になってただけじゃん。
その場の事情聴取が終わって、一旦仕事に戻ることとなった。
新車部から中古車部の棟まで行く途中、実来君に呼び止められた。
「先輩!! 頭おかしいでしょ!」
うるさいよ君。
「なんでっやってもいない罪を被ったんですか!!」
一言言い返してやっても良かったんだけど、もう言い逃れはできない気がして。
私は笑顔で振り返って、実来君に伝えた。