Re:Romance


「実来君が好きだからに決まってんじゃん。」   

「え、」

「あの時の責任、今取らせてよ。」

「あの時って、」

「高校生の時、実来君、私に言ったじゃん。『責任取って下さい』って。」

          
 実来君が、どこか辛そうな表情をして。言葉にならない声がどこかに飛んでいく。


 やめてよ、そんな顔。私を振る気満々じゃん。


「あの時から私、ずっと実来君のこと好きだったんだよ。」  

「……」

「でも彼女に、実来君を取らないでって言わちゃって。怖くなって、尻込みしちゃった。」

「え?」

「だから今、責任取らせてよ、実来君。」


 自販機と喫煙所の間で、きっと皆忙しくて誰も休憩はしていない。


 というかもう、謹慎ならなんでもいいかと思って。


 私は実来君の元までいって、実来君の頬を両手で挟んで、その唇にキスをした。


 実来君のちょっぴり驚いた顔は、やっぱり蒼碧の瞳が似合う美少年だ。


 離したくない。離れたくない。


 好きだよ


好きで好きで好きで、大好きで―――。


 君のためなら悪役のヒロインにだってなれる。


 ありがとう。大好きなヒーロー。


「助けに来てくれて、ありがとうね! 実来君!」


 頬からそっと手を離して、精いっぱいの笑顔を見せた。


 振り返れば、嫌でも自分の笑顔がぐしゃぐしゃに崩れていく。


 好き。大好き。


 その想いをようやく伝えられて、今までの嫌な自分が明るみになる。


 あきらめ切った恋を勝手に終わらせて。今はもう好きじゃないふりして自分をも騙し続けていた私。


 馬鹿みたいに人生冷めた気になって、結婚っていう一つの分岐点を不徳に扱って。


 もっと早く好きって伝えられていれば、もっと笑顔を保っていられたのかな。




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