Re:Romance


 依存しそうにもなる彼女の魅力は、何も俺だけが気付いていたわけではない。


 里夏が一夜限りで見限っていた時期があるのは、依存する男が多かったからだ。


 里夏の依存相手がいつか自分になればいいと思っていた矢先、俺が上手い具合に空回りして里夏を傷つけた。


 本人には、俺が関与したことはナイショで起用したはずのコラボ企画。


 新色発表会のモーターショーで特別ゲストとして叶恵リカを呼んだのが間違いだった。


 当時取締役常務だった親父が、里夏に「君の力になれたようで嬉しいよ。」と余計な一言を言ったのだ。


 自分の実力ではなく、ムラノ自動車で働く俺のコネクション力のお陰だと気付いた里夏は、その日、俺に「寿佐のお陰だったんだね。ありがとう!」と笑顔で言った。


 あの時の笑顔は今でも忘れられない。どこか辛さが見え隠れするその顔は、俺に罪の意識を植えつけた。


 それから仕事で忙しい日が続いたのを理由に、里夏には連絡を取れなくなった。ようやく連絡を取ろうと決心がついた頃にはすでに1ヶ月が過ぎていて。1ヶ月ぶりのメッセージにはなんの返事も来なかった。


 その後、親父には「半導体メーカーとの強固なパイプを築くため、お前に婚約者を迎えることになった。」と正式に報告があった。


 ますます連絡が取れなくなり、結果、自然消滅という形で別れを迎えた俺たちだったが、みちるのお陰で再び出会いを遂げた。



< 85 / 96 >

この作品をシェア

pagetop