Re:Romance
「里夏ちゃん、今忙しいよね?」
「今サトケン来てて、人だかりができちゃって、」
「さっきSNSで『芽組食堂』をリアタイ検索したらサトケン来てるって出てきてさ。よければ手伝おうか?」
「えっ?! さすがにそれは!」
その時、店の前にいた兄貴がスマホの画面を見ながら近付いてきた。
「もうあと10分くらいでサトケン帰るはずなんで、サトケンが外に出る時だけ手伝ってもらっていっすか。」
どうやらスマホの時計を確認していたらしい兄貴が、図々しくも玲さんに淡々と告げる。
「ああ、全然いいですよ。手伝います。」
「めちゃ助かるわ。ええと?」
「五智川玲って言います。」
「玲さんね。俺は里夏の兄の京太。よろしく。」
あまりにも端的な自己紹介に、私は兄貴の背中を叩いてその図太さを非難した。
話にならない兄貴を、あっちに行けとその場から追いやる。玲さんに「ごめんね。」と伝えれば、玲さんは笑って許してくれた。
サトケン退場管理が無事終了し、客足も安定した入りとなってきた芽組食堂。兄貴が、率先して働いてくれた玲さんを真っ直ぐに見つめ言った。
「玲さん、お礼にご飯ごちそうするよ。食べていかない?」
玲さんに信頼性を感じたのか、兄貴の表情が緩んでいる。
玲さんが兄貴に爽やかな空気で笑いかけた。
「俺、里夏さんをデートに誘うつもりで来たので、よければしばらく里夏さんを貸していただけませんか?」
「そうなの? なんつー行動派なの玲さん。」
前もって連絡くれればよかったのに、と続けようとしたところで、面倒になった玲さんからのメッセージを無視していたのは私か。と今になって思い出す。
「行動派の俺に少しは興味持ってくれた?」
「うん、少しだけね。」
私がすっぴん極まりない顔で適度に笑いかければ、玲さんがふわりと私の頭を撫でた。
「随分とらぶらぶなご様子で?」
怪訝な顔つきの兄貴が、私と玲さんを交互に見ながらため息をつく。