Re:Romance
Obsession



 

 大食いチューバーのサトケンがやって来た日。どこから情報が出回ったのか、リアルタイム発信で店の外にはお客さんが集まって来ている。


 サトケンのお陰で本日店は大盛況。パートさんもフル出勤だ。


 店の中を手伝っていた私は、急きょ外へ回り、公道沿いの車や他のお客さんの迷惑にならないよう注意を促す。


 雛姉に呼ばれたのって、まさか今日のために人員を増やすためだったんじゃないの? 


 そうはいってもこうして店を手伝っている私。昨日まで勝手に家族に確執を作っていた里夏はどこへやら。


 私と兄貴が駐車場に群がる人々に注意を促していれば、この辺りでは珍しい高級車、パールホワイトのクラウスが駐車場に入ってきた。


 丁寧に駐車されたクラウスのパールホワイトが日光により反射する。あの塗装は特殊。キラキラと輝いているように見えるのだ。


 車の中から出てきたグラサンつけた黒髪の男が、グレーベージュのトレンチコートを翻し、こちらへと近付いてくる。


 サトケン関係者かと思って見ていれば、人だかりの向こうでグラサンを外し、私に手を振ってきた。


「……は? 玲さん?」 

   
 五智川玲が、なぜかうちの実家である『芽組食堂』の前にいる。
  

「ちょ、うそ、なんで玲さん?!」


 私が玲さんに近付こうとしたところで、自分がすっぴんだということを思い出した。でも眼鏡があるし、まあいいやといっそ開き直ってみる。


「りーかちゃん! 元気だった?」   

「てか、どうしたんです? なんでこんなとこにいるんですか!」

「俺、今日休みなの。里夏ちゃん、実家に帰るってメッセージくれたから、ちょっと覗いてみようと思って。」

「いやいや、なんで私の実家知ってるの?!」

「いやいや、合コンで逆出向狙ってる実来君?がペラペラ喋ってたじゃん。」

「あー。そういえばそうだった。」

   
 いや、私の実家知っているからって普通私の実家に来るか? それか玲さんもサトケンファンなの?





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