Re:Romance
Obsession
昨日、実来君に送った窓からの夕焼け空の画像には、なんとも平坦なメッセージが返ってきた。
〈今実家にいるんですね。〉
私の実家を知っている実来君なら、今私がいる場所が画像ですぐに分かると思った。
なにか返そうかとも思ったけれど、私の中で一つ、決心がついた。
このまま会社を辞めようと思う。私が会社に戻れば、私のやってもいない罪を実来君や真田さんや香椎がフォローしてくる可能性は高い。
ぶり返して他の人に被害が及ぶくらいなら、いっそこのまま私が辞めた方がいい。辞めた人間であれば、罪を被せやすいだろうから。
もう私の居場所はあるのだ。
バイトでもなんでもしながら、芽組食堂を手伝う人生も悪くない。
家族に受け入れられている事実に安心したのと、実来君にようやく見切りがつけられたことで肩の荷が下りた気がする。
疲れが一気に襲ってきた。
「里夏ちゃん、疲れたんじゃない?遠慮なく寝てきなよ。」
「ありがとう。」
玲さんの言葉に後押しされて、私は目を閉じた。
ふと目が覚めた時には、すでに辺りは暗くなっていた。
車の振動による心地の良い揺れだと思っていたけれど。
いや、私の身体が浮いている?
どうやら誰かに抱えられていて、ふわりとなにか柔らかい場所に下ろされた。なかなか思考が働かない自分の頭が次第にクリアになっていく。
「……あれ、明るい?」
一瞬暗いと思っていた周りがやたら明るい。なんなら、天井には明かりがついている。
「起きた? 里夏ちゃん」
そう私を呼ぶ声が耳に届いて、玲さんの顔が眼前に迫る。
「うおいっ! 近いわ!」
自分の反射神経に感謝したい。キスされそうな距離に迫られて、スッと上に肢体をずらした。
「あれ、私、寝ちゃってた?」
目をこすろうとすれば、眼鏡がないことに気が付いた。きっと今わたし、最悪な顔面さらしてる。
「二時間くらい、車に揺られて寝てたよ。」
「う、うそ!」
「だから15分置きにキスしてごめん。」
「あ、謝るくらいならその事実隠しとけば?!」
「嘘だって。」
何回キスされたのか数えそうになった私の頭はきっとまだ寝ぼけている。
上半身を起こして周りを見渡せば、そこには知らない世界が広がっていた。