絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第六話】 : 苗床の帰還 ―その胎(なか)に老いた種を宿して―6

「あぁぁ、おぉぉぉおお、……はぁぁぁぁはは……うぅぅ…ぉぅぅぅおうううう」

力任せの挿入ではなく、女性を労るような挿入に
時間が、回数が増すごとに快感が絶頂の淵へ、信じられないほど淫らな、獣のような喘ぎ声が漏れ続けた。

ひとみの両腕は老人の頭を掻き毟り、両足は老人を蟹挟みに締めつける。

老人の「モノ」がゆっくりと、だが確実にひとみの最奥へと沈み込んでいく。

その重厚な圧迫感は、夫との味気ない夜とは比較にならないほど、ひとみの存在そのものを塗りつぶしていく。

ひとみは狂おしく腰を揺らした。

老人の腰使いは、決して若者のような荒々しさではない。

だが、計算し尽くされた角度で、ひとみが一番「欲しがっている場所」を執拗に抉る。

(……当たる、当たる、奥に当たる。腰が……身体が蕩けそう。……この老人(ひと)、凄いわ)

「……もう、ダメだな。ひとみ……しっかり受け取れよ。……わしの子を孕め」

「はぁっ、あ、あ、あああああッ!!」

ひとみの身体は弓なりに反り返り、シーツを掴む指先に、白くなるほど力がこもる。

脳内には白い閃光が走り、快感の爆発が連鎖する。

絶頂の淵で、ひとみは老人の背中に爪を立てた。

その瞬間、老人の低い呻きと共に、熱い奔流がひとみの最奥を叩いた。

老人の重みが全身にのしかかる。

ひとみは、自らの内に注がれる熱を感じながら、虚ろな瞳で天井を見上げた。

(……終わった。あの老人(ひと)に出されちゃった。……もう、終わりね。私は老人に買われた身。本当の意味で、これで終わりでは無いわよね。この先、どうなるんだろ……)

老人がゆっくりと腰を上げると、ひとみの入り口からは、堪えきれなくなった白濁した液体が、筋となってシーツに溢れ出した。

秘書のまどかが、老人にガウンを背後から羽織らせ、ひとみに眼をやり。

「もう休んで。……おやすみなさい」

老人がひとみに一言。

「先の事は、これからゆっくり話し合おう。……お前はわしが買った。法的にもわしの「傍」に置くには、離婚の事も有るしな。……今夜は、もう休め」

老人が部屋を去り、重厚なドアが「カチリ」と音を立てて閉まる。

その静寂が、かえってひとみの耳の奥で、先ほどまでの淫らな水音を増幅させていた。

シーツの海に投げ出された体は、まだ自分のものとは思えないほど熱く、痺れている。
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