絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第一話】:鏡の中の「良い母親」7

「……いつまでも、理央をひとりっ娘にして置くのは、可哀想だ。……奥さん、そろそろ次の子を産めよ。……えっ、どうだい?」

「うぐっうぐうぐ……」

ひとみは息苦しく、ただ首を振るばかり。

誠司の突き上げも激しく、後頭部をべッドの縁にぶつけ、擦りつけられてる。

けど、下手に逆らい、物音を立てると娘が起きかねないと、涙を溢すだけだった。

(……早く終わってよ。こんな事、いつまで続けてるのよ……早く、終わってよ)

誠司の行為は、突き上げが激しいだけで、ひとみは感じると言うより、窮屈な姿勢に嫌悪感を覚える。

誠司は膨張を始める。

(中に出したけりゃ出せばいいでしょ、早く終われ。……早く終われ。……こんなの、もううんざり)

妻としてのひとみは、既に存在しては居なかった。

この夜は、最後の決心を決定づける機会になってしまった。
< 122 / 136 >

この作品をシェア

pagetop