絡まる残り香―滴る甘い蜜―
【第二話】:崩壊の足音と、京都からの誘い 4
「……事務長、これ、実は他人事じゃないんですよ。私の所へも、この手の患者さんは来るし、学会でも、良く話題になるんですよ」
「へぇ……そんなに」
事務長はコ一ヒ一を啜り、驚いた。
「事務長、単に『性欲が強い』ことと『依存症』は、似て非なるものなんですよ。医学的な核心は、**『コントロールの喪失』と『社会的生活の破綻』**にあります」
医師は、専門的な言葉を綴る。
受付に座るひとみがふと、待合いホ一ルのテレビに眼をやると、画面の中で繰り返される「強迫的性行動症」というテロップを眺め、心臓の鼓動が速まるのを覚える。
(……えっ?私の事。違う、違う。……私は、そんなんじゃない……私は)
精神科の医師は、手元の缶コーヒーを一口啜り、隣に立つ事務長へと視線を向けた。
「強迫的な衝動の持続。性的な衝動や欲求を制御できず、繰り返し実行してしまう」
事務長は「はあ……」と生返事をしながら、画面に映る依存症患者の再現ドラマを半信半疑で見つめている。
「負の結果を伴う継続。家庭崩壊、解雇、法的問題、健康被害が生じていると自覚しながらも、行動を中止できない」
画面では、依存に囚われた者の虚ろな瞳が、こちらを覗き返していると、ひとみはハッとする。
「二重生活、コントロールの喪失。これこそが核心。本人の意志じゃどうにもならない、ブレーキの壊れたダンプカーみたいなもんだよ。家庭が壊れようが、仕事でクビを宣告されようが、やめられない。いや、やめようと思えば思うほど、その『禁止』が逆に強烈な渇望に火をつける」
「女性にも、そんなに多いんですか?」
事務長は医師に聞く。
「へぇ……そんなに」
事務長はコ一ヒ一を啜り、驚いた。
「事務長、単に『性欲が強い』ことと『依存症』は、似て非なるものなんですよ。医学的な核心は、**『コントロールの喪失』と『社会的生活の破綻』**にあります」
医師は、専門的な言葉を綴る。
受付に座るひとみがふと、待合いホ一ルのテレビに眼をやると、画面の中で繰り返される「強迫的性行動症」というテロップを眺め、心臓の鼓動が速まるのを覚える。
(……えっ?私の事。違う、違う。……私は、そんなんじゃない……私は)
精神科の医師は、手元の缶コーヒーを一口啜り、隣に立つ事務長へと視線を向けた。
「強迫的な衝動の持続。性的な衝動や欲求を制御できず、繰り返し実行してしまう」
事務長は「はあ……」と生返事をしながら、画面に映る依存症患者の再現ドラマを半信半疑で見つめている。
「負の結果を伴う継続。家庭崩壊、解雇、法的問題、健康被害が生じていると自覚しながらも、行動を中止できない」
画面では、依存に囚われた者の虚ろな瞳が、こちらを覗き返していると、ひとみはハッとする。
「二重生活、コントロールの喪失。これこそが核心。本人の意志じゃどうにもならない、ブレーキの壊れたダンプカーみたいなもんだよ。家庭が壊れようが、仕事でクビを宣告されようが、やめられない。いや、やめようと思えば思うほど、その『禁止』が逆に強烈な渇望に火をつける」
「女性にも、そんなに多いんですか?」
事務長は医師に聞く。