絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第三話】:甘露の毒 3

「ルールは簡単! くじ引きで選ばれた男女一組が対決! 先に五勝した方が勝ち! 勝った方には店からボトルをサービス。ただし、負けた方はその場で酒を飲み干してもらう。男性用には、グラス半分のストレ一トをご用意。女性用の酒には……ちょっとした『お楽しみ』が入ってるからね!」

店長が十本の紐を握り、客の間を回る。

最初の組み合わせは、40代のいかにも欲求不満そうな女と、金を持っていそうな60代の男。

女が負けるたび、並々と注がれた「仕掛け」入りのグラスが空になっていく。

「あははっ、また負けちゃったぁ……」

三杯目を飲み干す頃には、女性の瞳はとろんと濁り、頬は上気し、ガウンの襟元を自ら寛げ、隠しきれない熱い吐息を漏らし始めた。

「あ、ん……もう、回ってきたかも……」

勝負が決まる頃には、彼女は自力で立っているのもやっとの状態。

「身体が火照って……なんか、すっごい暑いの。ねえ、どこでもいいから、連れてって……」

女性は男性に凭れ掛かる。

勝者となった男性は、獲物を自慢するように彼女の腰を抱き寄せ、足早に奥の「ルーム」へと消えていった。

ひとみが引き当てたのは、赤い印のついた紐だった。

対戦相手は、いかにも真面目そうな50代のサラリーマン風の男だ。

「お手柔らかにね、お姉さん」

男は緊張した面持ちでひとみの前に立った。

「よろしくお願いします……」

ひとみは不敵に微笑み、対峙する

「じゃん、けん、ぽん!」

一回目。

ひとみは負けた。

「これ、ただのお酒じゃないんでしょ?」

ひとみが小声で囁く。

「どうですかな、さあ、……どうぞ」
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