絡まる残り香―滴る甘い蜜―
【第五話】: 二面の顔と、女の性 4
それは、崩壊に傾く日常の中で唯一の、しかしどこか空虚な一時的な逃避行に思えた。
金曜日の夜。
誠司と話し合った夜から、ひとみは娘のべッドで一緒に休んでいる。
この夜も、明日からの旅行の準備を済ませ、理央と、お寺巡りのお喋りを楽しみ、就寝につく。
理央の小さな体温を隣に感じながら、眠りにつき、「この子だけは……」と胸に込み上げるものがあった。
胸に込み上げる熱いものを抑え込みながら、ひとみは闇の向こうにある「古都」の景色を思い描いた。
そこには、今の自分を救い出してくれる、甘美な堕落と救済が待っているはずだった。
週末の土曜日、東京駅。
ひとみ親子は、総武快速線の地下ホームから、新幹線ホームへと、大きな駅の端から端まで歩いている。
ひとみは重いキャリーバッグを引き、リュックを背負った理央を連れて歩く。
「ママ……新幹線ホームまで、まだ遠いの?」
駅の雑踏の中、人とぶつかりながら、長い移動を
強いられ、理央はふて腐り気味。
「もう直ぐよ、……ほら!見えた、『新幹線のりば』って、書いてあるでしょう」
それはひとみも同じで、安堵の表情を浮かべる。
これから行く京都には、自分の人生の岐路になり、変革を求める旅でもあると、心の中では理解していた。
金曜日の夜。
誠司と話し合った夜から、ひとみは娘のべッドで一緒に休んでいる。
この夜も、明日からの旅行の準備を済ませ、理央と、お寺巡りのお喋りを楽しみ、就寝につく。
理央の小さな体温を隣に感じながら、眠りにつき、「この子だけは……」と胸に込み上げるものがあった。
胸に込み上げる熱いものを抑え込みながら、ひとみは闇の向こうにある「古都」の景色を思い描いた。
そこには、今の自分を救い出してくれる、甘美な堕落と救済が待っているはずだった。
週末の土曜日、東京駅。
ひとみ親子は、総武快速線の地下ホームから、新幹線ホームへと、大きな駅の端から端まで歩いている。
ひとみは重いキャリーバッグを引き、リュックを背負った理央を連れて歩く。
「ママ……新幹線ホームまで、まだ遠いの?」
駅の雑踏の中、人とぶつかりながら、長い移動を
強いられ、理央はふて腐り気味。
「もう直ぐよ、……ほら!見えた、『新幹線のりば』って、書いてあるでしょう」
それはひとみも同じで、安堵の表情を浮かべる。
これから行く京都には、自分の人生の岐路になり、変革を求める旅でもあると、心の中では理解していた。