絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第六話】:背徳の褥(しとね)9

老人の腰使いは一定のリズムを崩さず、ゆっくりねちっこく、ひとみの身体を丹念に味わってる。

口腔に溢れた熱い唾液が、ひとみの口角から滲み出て、彼女の顎を伝って枕元に重いシミを作る。

(理央……! あああ、もう、止まらない……!)

女の身体を知り尽くす老人の責めは、大きさ、長さ、速さに頼らずに、じっくり急所を弄ぶ。

女性が求めるのは、変わらぬリズムで責め続けられ、快感を得るのは、身体ではなく脳裡で得る事を、老人は熟知していた。

隣で眠る愛娘の、ミルクのように甘く、清らかな匂いが鼻腔をかすめるたび、ひとみの背徳の快楽は「ドクン」と密度を増す。

「ふぅぅ……。ひとみ、そろそろ出すぞ。」

「……奥深く、出して下さい」

老人の身体は徐々に小刻みに跳ね、膣内で「雄」が膨張して行く。

ひとみの唇を塞ぎ、項をしっかり抱き込み、涎を垂らしながらに、舌を絡めたまま、「うっ、うぅぅ…」と最奥の『壁』に熱い白液を放った。

(……あっ!出された。終わった……)

『ドカッ』と、汗ばむ老人の重みと温もりを、身体全体で受けとめるひとみは、人差し指の爪を無造作に噛む。

意識の底で、重く、甘ったるい、完熟した果実が崩れるような香りが、ひとみの思考を真っ白に塗り潰していった。

「ひとみ……ひとみ……良かったぞ」

「私も……良かったです」

老人はひとみの名を口ずさみながら、貪るように唇を求め続けた。

やがて、老人の後戯も終わり、潮が引くように「そろり」と緩やかになり、重なり合った肉体に静寂が戻る。

離れ際。

「お前の身体は、最高だ」

言い終え、衣服を整えると、もと来た障子を開けて、まどかに手を取られて、姿を闇に消した。

ひとみは、枕元のティシュを数枚手に、秘部に残る、老人の白液と自身の蜜を拭き取り、下着と寝間着を身につけ、本当の就寝についた。

庭の竹林は夜風に揺れ、時たま『サササッー』と
沈黙を掻き乱していた。

こうして、満月の深夜は静粛な時を刻んでいくのである。
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