絡まる残り香―滴る甘い蜜―
白衣の陥穽 【第一話】2
定時を告げるチャイムが、院内に無機質に鳴る。
更衣室の狭い空間、ストッキングを履き替えた。
絹の滑らかな肌触りが、脚の曲線を強調する。
鏡に映る自分の顔は、驚くほど艶を帯びていた。
幕張の家へ帰る電車とは、逆の方向へ足が向く。
聖橋の上、神田川を渡る風が頬を冷たく叩いた。
待ち合わせのホテルは、路地裏に静かに佇む。
古びたレンガの匂いと、微かなカビの香りがした。
フロントを抜け、指定された部屋の前に立つ。
厚い絨毯を踏みしめる音さえ、今は煩わしい。
ドアノブに触れると、金属の冷たさが掌に伝わる。
中から漏れ聞こえるのは、加納の低い吐息。
鍵の開く音が、静まり返った廊下に響く。
加納の指先が、ひとみの細い手首を掴んだ。
消毒液を拭い去った、雄としての猛々しい匂い。
「遅かったですね、若林さん」
耳朶を食む吐息が、湿った熱を帯びている。
首筋に触れる彼の指は、氷のように冷たかった。
対照的な体温の差に、背筋が粟立つ。
ひとみは、自慢の胸を彼の胸板に押し当てた。
ブラウス越しに伝わる、硬いボタンの感触。
布地の擦れるカサカサという音が、情欲を煽る。
「……待たされるのは、嫌い?」
挑発的に見上げると、彼の瞳に欲望が宿った。
部屋に充満する、沈丁花の芳香剤の甘い香り。
その人工的な香りが、不倫の罪深さを助長する。
加納の大きな掌が、ひとみの腰を強く引き寄せた。
タイトスカートの裾が捲り上がり、太腿を露わにする。
外気で冷えた肌に、彼の熱い掌が密着した。
加納の荒い鼻息が、ひとみの鎖骨をなぞる。
石鹸の香りと、混じり合う男の獣じみた脂の匂い。
彼の指がストッキングの付け根を強引に割り込んだ。
「……っ、そこ、は……」
吐息が漏れ、冷たい壁に背中が押し付けられる。
背面に伝わる壁の硬質さと、彼の胸板の弾力。
その狭間で、ひとみの肉体は甘く軋んだ。
加納は無言で、彼女のスカートのジッパーを下ろした。
金属の噛み合う鋭い音が、密室に小さく木霊する。
膝裏を撫でる彼の掌は、手術用の手袋のように滑らかだ。
「この脚……ずっと、触りたかったんですよ」
低く濁った声が、ひとみの鼓動を激しく打ち鳴らす。
視界が揺れ、シャンデリアの光が網膜に突き刺さった。
幕張の静寂とは対極にある、剥き出しの暴力的な情欲。
ひとみは自ら、彼の厚い胸板に指先を這わせた。
ワイシャツのボタンが、指の熱で微かに温んでいる。
禁断の果実を齧る音が、脳内で鳴り響いた。
加納の指が、ひとみのブラジャーのホックを弾いた。
解放された双丘が、冷たい夜気に曝されて震える。
「……っ、ん、冷たい……」
彼の乾いた唇が、ひとみの形の良い胸を捉えた。
吸い上げられる圧迫感と、湿った舌のざらつき。
鼻腔を突くのは、加納の首筋から香るムスクの残り香。
ひとみの自慢の脚が、無意識に彼の腰に絡みついた。
ストッキング越しに伝わる、彼のズボンの硬い質感。
膝裏に食い込む彼の掌の熱が、深部へと伝播する。
「奥さん……旦那さんは、こんなに欲しがりますか?」
耳元で囁かれる卑猥な言葉が、鼓膜を熱く揺さぶった。
背中の壁の冷たさと、腹部に押し当てられた彼の硬直。
ひとみは答えず、ただ彼の髪に指を食い込ませた。
整髪料のベタつきと、男特有の頭皮の匂いが混じる。
幕張の家で待つ夫の顔が、霧の向こうへ消えていく。
更衣室の狭い空間、ストッキングを履き替えた。
絹の滑らかな肌触りが、脚の曲線を強調する。
鏡に映る自分の顔は、驚くほど艶を帯びていた。
幕張の家へ帰る電車とは、逆の方向へ足が向く。
聖橋の上、神田川を渡る風が頬を冷たく叩いた。
待ち合わせのホテルは、路地裏に静かに佇む。
古びたレンガの匂いと、微かなカビの香りがした。
フロントを抜け、指定された部屋の前に立つ。
厚い絨毯を踏みしめる音さえ、今は煩わしい。
ドアノブに触れると、金属の冷たさが掌に伝わる。
中から漏れ聞こえるのは、加納の低い吐息。
鍵の開く音が、静まり返った廊下に響く。
加納の指先が、ひとみの細い手首を掴んだ。
消毒液を拭い去った、雄としての猛々しい匂い。
「遅かったですね、若林さん」
耳朶を食む吐息が、湿った熱を帯びている。
首筋に触れる彼の指は、氷のように冷たかった。
対照的な体温の差に、背筋が粟立つ。
ひとみは、自慢の胸を彼の胸板に押し当てた。
ブラウス越しに伝わる、硬いボタンの感触。
布地の擦れるカサカサという音が、情欲を煽る。
「……待たされるのは、嫌い?」
挑発的に見上げると、彼の瞳に欲望が宿った。
部屋に充満する、沈丁花の芳香剤の甘い香り。
その人工的な香りが、不倫の罪深さを助長する。
加納の大きな掌が、ひとみの腰を強く引き寄せた。
タイトスカートの裾が捲り上がり、太腿を露わにする。
外気で冷えた肌に、彼の熱い掌が密着した。
加納の荒い鼻息が、ひとみの鎖骨をなぞる。
石鹸の香りと、混じり合う男の獣じみた脂の匂い。
彼の指がストッキングの付け根を強引に割り込んだ。
「……っ、そこ、は……」
吐息が漏れ、冷たい壁に背中が押し付けられる。
背面に伝わる壁の硬質さと、彼の胸板の弾力。
その狭間で、ひとみの肉体は甘く軋んだ。
加納は無言で、彼女のスカートのジッパーを下ろした。
金属の噛み合う鋭い音が、密室に小さく木霊する。
膝裏を撫でる彼の掌は、手術用の手袋のように滑らかだ。
「この脚……ずっと、触りたかったんですよ」
低く濁った声が、ひとみの鼓動を激しく打ち鳴らす。
視界が揺れ、シャンデリアの光が網膜に突き刺さった。
幕張の静寂とは対極にある、剥き出しの暴力的な情欲。
ひとみは自ら、彼の厚い胸板に指先を這わせた。
ワイシャツのボタンが、指の熱で微かに温んでいる。
禁断の果実を齧る音が、脳内で鳴り響いた。
加納の指が、ひとみのブラジャーのホックを弾いた。
解放された双丘が、冷たい夜気に曝されて震える。
「……っ、ん、冷たい……」
彼の乾いた唇が、ひとみの形の良い胸を捉えた。
吸い上げられる圧迫感と、湿った舌のざらつき。
鼻腔を突くのは、加納の首筋から香るムスクの残り香。
ひとみの自慢の脚が、無意識に彼の腰に絡みついた。
ストッキング越しに伝わる、彼のズボンの硬い質感。
膝裏に食い込む彼の掌の熱が、深部へと伝播する。
「奥さん……旦那さんは、こんなに欲しがりますか?」
耳元で囁かれる卑猥な言葉が、鼓膜を熱く揺さぶった。
背中の壁の冷たさと、腹部に押し当てられた彼の硬直。
ひとみは答えず、ただ彼の髪に指を食い込ませた。
整髪料のベタつきと、男特有の頭皮の匂いが混じる。
幕張の家で待つ夫の顔が、霧の向こうへ消えていく。