絡まる残り香―滴る甘い蜜―

白衣の陥穽 【第二話】1

加納の指先が、ひとみの下着のレースを裂くように割った。

潤んだ粘膜が空気に触れ、ひんやりとした違和感に跳ねる。

部屋の隅で、加湿器がシュンシュンと湿った音を吐き出した。

​「奥さん、ここ……ひどく熱を持っていますよ」

彼の指が、秘部を執拗になぞり、円を描く。

ぬるりとした自身の蜜の感触が、指の腹で広がる。

鼻腔を突き抜けるのは、愛欲が混じり合った濃厚な雌の匂い。

​ひとみは、彼の肩に歯を立て、欲望を押し殺した。

クリーニングの糊の匂いと、微かな汗の酸味が舌に残る。

「……黙って、早く……壊して……」

​自慢の脚をさらに高く持ち上げ、彼の腰を迎え入れる。

背中の壁の冷たさが、体内の灼熱を一層際立たせた。

加納の荒い鼻息が、ひとみの耳元で雷鳴のように響く。

​彼の隆起が、入り口を強引に押し広げ、侵入を開始した。

みしりと肉が軋む音と、内側から広がる圧倒的な質量。

ひとみの視界は、シャンデリアの残像で白く塗り潰された。

加納の質量が、ひとみの最奥へと容赦なく楔を打つ。

内壁を擦る乾いた摩擦音と、溢れ出す蜜の粘着音。

鼻腔を支配するのは、鉄分を含んだような濃厚な雄の匂いだ。

​「くっ……あ、あ、……すごい、……っ」

ひとみは首筋を仰け反らせ、天井の木目を凝視した。

網膜に焼き付くのは、激しく揺れるシャンデリアの残像。

背中の壁から伝わる震動が、背骨を伝って脳を揺らす。

​加納の大きな掌が、ひとみの形の良い胸を強く掴んだ。

指の間に食い込む柔肉の弾力と、上気した肌の熱。

乳首に触れる彼の指先は、手術用のメスのように鋭敏だ。

​「奥さん、こんなに……締まって……っ」

加納の額から滴る汗が、ひとみの鎖骨に熱く落ちた。

汗の塩分を含んだ匂いと、微かな煙草の香りが混じる。

ひとみの自慢の脚は、彼の腰を壊さんばかりに締め上げる。

​ストッキングの伝線した箇所の、ざらりとした肌触り。

結合部から漏れ出す、甘く腐りかけた果実のような芳香。

幕張の日常という皮を剥ぎ取り、ただの肉塊と化す。
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