絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第三話】: 弄ばれて、目覚める 5

​「……ほら、綺麗にしろ」

​激しい熱を注ぎ込まれた直後、男がひとみの髪を乱暴に掴み、膝をつかせた。

シャワーの水音にかき消されそうな、情けない喘ぎ。

ひとみは屈辱に震えながらも、男の命じられるまま、後始末のためにその口を汚した。

​「あ……ぅ、ん……っ」

​病院での気高い姿は、もうどこにもない。

ひとみが吐き出すように顔を上げると、男は満足げに鼻で笑い、濡れたままの彼女をベッドへと引きずっていった。

​「休みは終わりだ。次は自分から奉仕してみせろ」

​湿ったシーツに放り出されたひとみに、二度目の蹂躙が始まる。

だが今度は、男が動くのではない。

​「跨がれ。お前の脚で、俺を喜ばせてみろ」

​男の命令に従い、ひとみは自らその上に跨がった。

自慢の脚を大きく開き、男の欲望を受け入れ、腰を上下させる。

鏡には、髪を乱し、汗ばんだ肌を晒して必死に動く自分の姿が映っている。

​(私……自分から、こんな……っ)

​「どうした、もっと激しく動け。お前は俺の犬だろう」

​「あ、はぁっ……あ、ああああっ!」

​自分で動くたびに、深く、えぐるような快感。

ひとみは次第に、男に奉仕しているのか、自分が快楽を貪っているのか分からなくなっていった。

自ら腰を打ち付け、獣のような声を漏らし、二度目の絶頂が全身を貫いた。

​嵐のような時間が過ぎ、男は満足したようにタバコに火をつけた。

ひとみは力なく横たわったまま、男が身支度を整えるのを虚ろな目で見守ることしかできない。

​「……じゃあな。来週も、遅れるなよ」

​男が部屋を出る音が響く。

重い静寂の中、ひとみは震える手で自分の服を拾い集めた。

中出しされた違和感を身体の奥に抱えたまま、彼女は「妻」の顔を必死に作り、錦糸町の夜へと消えていった。
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