絡まる残り香―滴る甘い蜜―
第三章:侵食される日常
【第一話】: 侵食される日常 1
最近の佐藤は、多忙な時間外診療の合間、ふとした瞬間に視線を走らせる場所があった。
それは、受付カウンターの奥で黙々とレセプト(診療報酬明細書)をチェックするひとみの姿だ。
患者への対応は、相変わらず非の打ち所がない。
だが、自分に対してだけ向ける「ツン」とした冷ややかな態度。
その距離感が、かつて弱みを握って弄んだ佐藤の征服欲をチリチリと焼く。
(……何かが、違う)
受付の電話対応をするひとみの声。
以前よりもどこか落ち着きがあり、潤んだような響きが含まれている。
佐藤は診察室の扉を少しだけ開け、受付で立ち働く彼女の横顔を、それこそ「舐めるように」観察し続けた。
仕事量は増えているはずなのに、ひとみの肌は以前よりも白く、発光しているようにさえ見える。
事務制服のベストに包まれた胸元が、呼吸に合わせてわずかに大きく上下するのを見て、佐藤は奥歯を噛み締めた。
(お前、前より明るくなったな……。一体、誰に中を潤されてるんだ?)
自分との接点が減り、言葉を交わす暇もないというのに、ひとみは自分の知らない「女の悦び」を知ってしまったのではないか。
その疑念が佐藤の中でどす黒いモヤモヤとなって蓄積していく。
抱きたい。
今すぐ、その事務机に押し倒して、制服のスカートを捲り上げたい。
多忙ゆえのストレスと、届かないもどかしさが、佐藤を狂わせていく。
「佐藤先生、時間外の患者さんのカルテ、こちらに置いておきますね」
ひとみが受付から事務的に声をかける。一瞬だけ合った視線。
佐藤は、その冷たい瞳の奥にある「秘密」を暴くため、夜の静まり返った受付ロビーで彼女を捕まえる機会を、虎視眈々と狙い始めた。
それは、受付カウンターの奥で黙々とレセプト(診療報酬明細書)をチェックするひとみの姿だ。
患者への対応は、相変わらず非の打ち所がない。
だが、自分に対してだけ向ける「ツン」とした冷ややかな態度。
その距離感が、かつて弱みを握って弄んだ佐藤の征服欲をチリチリと焼く。
(……何かが、違う)
受付の電話対応をするひとみの声。
以前よりもどこか落ち着きがあり、潤んだような響きが含まれている。
佐藤は診察室の扉を少しだけ開け、受付で立ち働く彼女の横顔を、それこそ「舐めるように」観察し続けた。
仕事量は増えているはずなのに、ひとみの肌は以前よりも白く、発光しているようにさえ見える。
事務制服のベストに包まれた胸元が、呼吸に合わせてわずかに大きく上下するのを見て、佐藤は奥歯を噛み締めた。
(お前、前より明るくなったな……。一体、誰に中を潤されてるんだ?)
自分との接点が減り、言葉を交わす暇もないというのに、ひとみは自分の知らない「女の悦び」を知ってしまったのではないか。
その疑念が佐藤の中でどす黒いモヤモヤとなって蓄積していく。
抱きたい。
今すぐ、その事務机に押し倒して、制服のスカートを捲り上げたい。
多忙ゆえのストレスと、届かないもどかしさが、佐藤を狂わせていく。
「佐藤先生、時間外の患者さんのカルテ、こちらに置いておきますね」
ひとみが受付から事務的に声をかける。一瞬だけ合った視線。
佐藤は、その冷たい瞳の奥にある「秘密」を暴くため、夜の静まり返った受付ロビーで彼女を捕まえる機会を、虎視眈々と狙い始めた。