絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第一話】: 日常の皮を剥ぐ 7

​「さあ、こっちだ。最高に鳴かせてやるよ」

​初老の男に差し出されたひとみは、数人の男たちの荒々しい手に担ぎ上げられた。

個室の静寂から一転、大部屋へ足を踏み入れた瞬間、そこには濃厚な男たちの汗と、精液、そして燻るような情欲の臭気が立ち込めていた。

​「……あ、……ぅ、……っ」

​ガウンは無造作に剥ぎ取られ、ひとみの肢体は、大勢の男たちの視線という「ナイフ」に晒される。

中央の巨大なマットに放り出された瞬間、待機していた常連の男たちが、飢えた獣のように一斉に群がった。

​「見てな、この肌。幕張の奥様が、今夜は種付けを待ってるぜ」

​一人がひとみの髪を掴んで無理やり顔を上げさせ、その口に自身の欲望をねじ込む。

拒絶の間もなく、別の男たちが左右からひとみの手足を抑え込み、乳房を、腹を、太腿を、容赦なく貪り始めた。

​「ん、んん……っ! げほっ、……あ、ああぁぁぁっ!」

​背後からは、先ほどの「真珠」の余韻で熱く開いたままの密林を、別の男が強引に割り広げ、一気に貫く。

真珠ほどの衝撃はない。

だが、次から次へと入れ替わる男たちの、荒々しく、節操のない「数の暴力」が、ひとみの感覚を麻痺させていく。

​「次、俺だ」

「どけよ、俺も入れさせろ」

​男たちは、まるで共有財産を扱うかのように、ひとみの身体を玩具(おもちゃ)にする。

一人、また一人と、ひとみの最奥へ「別の男の種」を流し込んでいく。

そのたびに、ひとみの下腹部は重くなり、子宮は誰のものかも分からない熱い塊で満たされ、溢れ出した白濁液がマットを白く汚していく。

​視界の端では、常連の女たちがワインを傾けながら、まるで家畜の交尾を眺めるような冷たい笑みを浮かべていた。

羞恥心は、すでに絶頂の向こう側へと消え去っている。

​(……もっと。もっと、私を汚して……! 誠司さんのことも、理央のことも……全部、忘れさせてっ!)

​ひとみは自ら腰を振り、自分を蹂躙する男たちの首に腕を回した。

汗と唾液にまみれ、何十人もの男たちの遺伝子を体内に流し込まれながら、ひとみは歓喜の叫びを上げ続ける。

その瞳は完全に虚空を見つめ、焦点は結ばれない。

ただ、男たちを受け入れるためだけの「器」として、ひとみの自我は、上野の深い闇の中へと溶け落ちていった。
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