絡まる残り香―滴る甘い蜜―
【第二話】: 悪魔の誘惑、天使の囁き 3
御茶ノ水の街に溢れる学生や会社員の活気が、今の彼女には眩しすぎて、かえって孤独を深めさせる。
駅近くの、目立たない地下の喫茶店。
薄暗い店内の奥まった席で待っていたのは、完璧な貴婦人の装いに戻った美奈代だった。
だが、ひとみが向かい側に腰を下ろした瞬間、彼女が纏う空気は一変した。
「……お疲れ様、ひとみさん。「昼間」の仕事は、退屈だったかしら?」
美奈代はニコッと微笑む。
その声は、周囲の喧騒に紛れながらも、ひとみの耳朶をねっとりと撫でた。
「……ええ。事務室の静寂が、昨夜の『残響』をかえって大きく響かせてしまうの」
ひとみが震える指先でコーヒーカップを掴むと、美奈代はテーブルの下で、ひとみの膝にそっと自身の靴先を這わせた。
(あっ……)
タイトスカートの生地越しに、昨夜、男たちに蹂躙された痣のあたりを執拗に探るような、残酷な愛撫。
「……っ、美奈代、さん……」
「ふふ、まだ疼いているのね。……私たちは、もうあの大部屋の匂いを知ってしまったのよ。この清潔な御茶ノ水の空気が、なんだか物足りなく感じない?」
駅近くの、目立たない地下の喫茶店。
薄暗い店内の奥まった席で待っていたのは、完璧な貴婦人の装いに戻った美奈代だった。
だが、ひとみが向かい側に腰を下ろした瞬間、彼女が纏う空気は一変した。
「……お疲れ様、ひとみさん。「昼間」の仕事は、退屈だったかしら?」
美奈代はニコッと微笑む。
その声は、周囲の喧騒に紛れながらも、ひとみの耳朶をねっとりと撫でた。
「……ええ。事務室の静寂が、昨夜の『残響』をかえって大きく響かせてしまうの」
ひとみが震える指先でコーヒーカップを掴むと、美奈代はテーブルの下で、ひとみの膝にそっと自身の靴先を這わせた。
(あっ……)
タイトスカートの生地越しに、昨夜、男たちに蹂躙された痣のあたりを執拗に探るような、残酷な愛撫。
「……っ、美奈代、さん……」
「ふふ、まだ疼いているのね。……私たちは、もうあの大部屋の匂いを知ってしまったのよ。この清潔な御茶ノ水の空気が、なんだか物足りなく感じない?」