絡まる残り香―滴る甘い蜜―
【第二話】: 悪魔の誘惑、天使の囁き 4
その言葉は、ひとみの深奥にある「底なしの渇望」を鋭く抉り出した。
事務服でどれほど厚く塗り隠しても、内側から溢れ出す「雌」の熱量を、もはや彼女は制御できなくなっていた。
御茶ノ水の清廉な空気は、今のひとみにとって鋭利な刃物のようだった。
美奈代の言葉は、まるで麻薬のようにひとみの思考を麻痺させ、平穏な日常という名の薄氷を粉々に砕いていく。
「……物足りない、なんて。そんなはず……」
否定しようとする唇が、皮肉にも微かに震え、熱を帯びる。
(……わたし、Mっ、気があるのかしら、……自分でも、良く判らない、な……)
コーヒーカップの縁に触れた自身の指先が、昨夜、何人もの男たちの無骨な手掌に抑え込まれ、白く指跡が残るほど強く握られた感覚を鮮明に蘇らせた。
「嘘をおっしゃい。あなたの瞳、あの大部屋の紅い絨毯の色に染まっているわよ」
美奈代は、事も無げに、それでいわたして確信に満ちた口調で告げた。
(えっ……)
彼女の手元にあるスプーンが、カップの中でカチリと硬質な音を立てる。
事務服でどれほど厚く塗り隠しても、内側から溢れ出す「雌」の熱量を、もはや彼女は制御できなくなっていた。
御茶ノ水の清廉な空気は、今のひとみにとって鋭利な刃物のようだった。
美奈代の言葉は、まるで麻薬のようにひとみの思考を麻痺させ、平穏な日常という名の薄氷を粉々に砕いていく。
「……物足りない、なんて。そんなはず……」
否定しようとする唇が、皮肉にも微かに震え、熱を帯びる。
(……わたし、Mっ、気があるのかしら、……自分でも、良く判らない、な……)
コーヒーカップの縁に触れた自身の指先が、昨夜、何人もの男たちの無骨な手掌に抑え込まれ、白く指跡が残るほど強く握られた感覚を鮮明に蘇らせた。
「嘘をおっしゃい。あなたの瞳、あの大部屋の紅い絨毯の色に染まっているわよ」
美奈代は、事も無げに、それでいわたして確信に満ちた口調で告げた。
(えっ……)
彼女の手元にあるスプーンが、カップの中でカチリと硬質な音を立てる。