絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第二話】: 悪魔の誘惑、天使の囁き 5

その音さえも、昨夜、地下の静寂の中で響いた、ベルトを外す金属音や、肉体同士がぶつかり合う卑猥な水音に変換されて脳内に響く。

(……やだわ、美奈代、さんに、見透かされてるみたい……今は…毎日毎日、「あそこ」へ、……行きたくて、……行きたくて、……どうしよもないのに……)

ひとみは逃げるように視線を落とした。

(結婚生活では、あんな刺激味わえなかった。男と女は愛がすべてと、思っていたけど、……私は愛より、……女を選ぶ。けど、……それだと、……家庭は崩壊ね、……娘も居るのに、……?)

タイトスカートの下、自身の両膝を固く閉じ合わせる力が強まる。

だが、そうすればするほど、内腿に刻まれた「所有印」――どす黒く変色した指跡の痣が、制服の生地と擦れてじりじりと疼く。

それは、単なる痛みではない。

蹂躙され、個としての尊厳を剥ぎ取られ、ただの「器」として扱われたことへの、抗いがたい悦楽の残滓だった。
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