絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第二話】:純白の生贄、媚薬のティータイム 1

伊豆急行の終着駅を降りた時、ひとみの足元は覚束ず、まるで幽霊のように虚ろな足取りだった。

特急列車のグリーン車でたけさんに味わわされた汚辱の感触が、今もなお内腿や喉の奥に、消えない熱としてへばりついている。

駅のホームに降り立つ観光客たちの眩しい笑顔が、彼女にはひどく残酷な暴力のように感じられた。

「さあ、車へ。旦那様がお待ちよ」

美奈代の冷徹な声に促され、ひとみは黒塗りの高級セダンの後部座席へと押し込められた。

運転席には、先ほどまで自分のすべてを蹂躙していたたけさんが、何事もなかったかのように無機質な表情で座っている。

バックミラー越しに一瞬だけ視線が合ったが、そこには以前に抱かれた時と同様、一切の慈悲も、そして軽蔑すらも存在しなかった。

ただ、使い古された道具を点検するような、冷え切った作業員の眼差しがあるだけだった。

車は海岸沿いの断崖を縫うように走り、やがて鬱蒼とした森の奥へと消えていく。

その先に聳え立っていたのが、白亜の別荘――「欲望の聖域」だった。

重厚な鉄製の門をくぐった瞬間、外界の法も倫理も、そして若林ひとみという一人の女性の人生も、完全に切り離された。

案内された控え室は、床から天井まで最高級の調度品で埋め尽くされていたが、窓は一つもなく、人工的な静寂が支配していた。

案内された控え室には、ひとみを含めて10人の女性が集められていた。

怯えきった女子大生や、借金のためにすべてを諦めたような虚無の瞳をしたOLに、無表情な主婦などが控えていた。

その中で、ひときわ異彩を放つ一人の女性がいた。

凛とした美貌を持ち、若くしてIT企業の社長としてその名を馳せる、佐伯雅代である。

彼女もまた、同じ純白のベビードールを纏い、この「商品」の一人としてそこにいた。
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