絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第二話】:純白の生贄、媚薬のティータイム 4

ひとみの格好は、透けるような繊細なべビ一ド一ル一枚を隔てて、乳房の柔らかな輪郭、くびれた腰の曲線、そして秘部の柔毛までもが、羞恥心を逆なでするほど生々しく露わになっている。

それは、病院の事務員としての理性も、一人の母親としての矜持も、すべてを透過させてしまう生贄の装束だった。

「ふふ……予想以上に、いい『素材』ね」

背後からかけられた冷ややかな声に、ひとみの肩が跳ねた。

振り返ると、そこには同じ純白のベビードールを纏った雅代が立っていた。

彼女の美貌は氷のように完璧で、その視線はひとみを一人の人間としてではなく、値打ちを査定する鑑定士のように冷たく射抜いていた。

雅代は優雅な足取りで近づくと、ひとみの震える顎を長い指先でクイと持ち上げた。

「……随分と、肌が火照っているわね。昼間の仕事では、こんな熱、出す機会もなかったでしょう?」

雅代の瞳が、ひとみの首筋に残る紅い鬱血――列車の中でたけさんがつけた吸い痕をじっと見つめる。

「……来るまでに、大層とお盛んですこと。よっぽど我慢出来ないのか、誰かに弄ばれたとか?」

生々しいく残る、赤紫の痕を指で撫でた。

(っ……! なぜ、それを……)

「この世界に秘密なんてないのよ。特に、あなたの体についてる『印』は隠しようがないわね」

次の瞬間、雅代の手は迷いなく、薄い生地一枚を隔てたひとみの胸へと伸びた。

「あ、っ……!?」

(……なにこの人、……一体、誰よ)

ひとみの口から、抗いようのない熱い吐息が漏れる。

「これなら、あの老人たちの枯れた欲望を掻き立てるには十分すぎるわ」

雅代の手掌は驚くほど冷たく、それが媚薬のようにひとみの肌を刺激した。

指先が蕾を執拗になぞり、その柔らかな肉を確かめるように強く握りしめる。
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