絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第四話】: 堕ちゆく菩薩と天狗の狂宴 2

別室のドアが開き、秘書が老人の背後に控える。

一糸纏わぬ姿だ。

滑らかな肢体を晒し、白磁のような肌の光沢を放ちながら佇む。

(この人も、裸……。次は、私の番なの?)

「案内しなさい」

老人の短い指が、空を切り、合図を送った。

「こちらよ、来なさい」

冷淡に言い放つと、ひとみの肩に手をかけ
シャワー室へ案内した。

タイル張りの床を打つ水滴の音が、狭い空間に反響してひとみの鼓膜を叩く。

(ようやく、身体を洗い流せたわ。……けど……これから……何をさせられるのかしら……?)

首筋を伝う熱い湯が、肌にこびり付いた恐怖と屈辱を洗い流していく。

立ち上る湯気の向こうで、ひとみは自身の火照った肌を強く抱きしめた。

シャワーを終えたひとみが、湿った吐息をつきながら、再び老人の前に姿を現す。

湯上がりで火照った彼女の肌からは、石鹸の香りと共に、微かな雌の匂いが立ち上っていた。

(……えっ……。)

天狗の面を被った男の膝元で、さきほどの秘書が跪き、男の隆起した化身を口内と指先で丹念に愛撫している。

湿った音と秘書の艶めかしい吐息が、静まり返った部屋に野蛮な熱を灯していく。
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