絡まる残り香―滴る甘い蜜―

【第四話】: 堕ちゆく菩薩と天狗の狂宴 7

頭を仰け反り、獣の断末魔のような叫び声。

身体の体重を腰に載せ、ジワリ、ジワリと己の御神体を沈めて行く天狗。

ゆっくり動かし、ひとみの顔を見る。

挿し込みは徐々に深く、最深部へ押し広げる。

ひとみは天狗の頭部へ手を廻し、掻き毟る。

動きが速まる。

天狗が老人を見る。

老人が頷く。

天狗は面を外した。

ひとみの唇を貪る。

ひとみも夢中に応える。

唇を離すと、灯りに煌めく一筋の糸が二人を繋ぐ。

(あぁぁ……最高。いいわ、いいわぁ……)

そこには娘の「母」も、良妻の「妻」も存在しない。

ひとみは内なる本能に浸り、己の本性を曝け出して、体躯に受ける快感に酔い、奈落へ転落して行くのである。

(もう、どうなってもいい……。このまま、溶けて……消えてしまいたい……)

天狗の愛撫はしつこくひとみの、脳を麻痺させ、
快感の余韻が消える前に次の波が押し寄せ、彼女の意識を狂おしい悦楽の極致へと繋ぎ止めて離さない。

「ねぇ……キ……キスして」

ひとみは天狗に、自らキスを求める。

ニヤッとして、唇を重ねる天狗。
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